堕ちる決断を3


 生徒会の活動が終わって、メンバーが帰ってゆく。鑓水と波折も後に続いて生徒会室を出て行った。


「……今日、篠崎の家に寄っていきたいんだけど」

「ふうん。案内しよっか」

「……うん」


 鑓水が篠崎の家に行こうとしていると知るなり、波折はすうっと目を細めて微笑んだ。なんで、とも、どうして、とも聞いてこないあたりが余計に怪しい。これは絶対に篠崎の家になにかあるのだと、鑓水は生唾を呑み込む。

 昇降口を出て、校門に向かおうとしたときのことだ。ちょうど、職員用の玄関から、淺羽が出てきた。朝に見た金の記章のことが気になっていた鑓水は、彼を見て思わず固まってしまう。そうしていれば彼は二人に気付いてこちらへやってきた。


「いつも二人でいるね。仲いいんだ」

「……はい、まあ……」

「これから一緒に帰るの?」

「……はい。ちょっと篠崎の家に寄って……」


 淺羽が話しかけてくる。鑓水はなぜだか彼と目が合わせられなくて、ちらちらと胸に光る記章を見つめながら、ぼそぼそと話した。


「……へえ、篠崎くんの家」


 そんな鑓水とは裏腹に、淺羽はいつもどおりのカラッとした口調で話している。その顔に笑顔をちらつかせ、そして鑓水の言葉に反応する。


「――俺が車で送って行ってあげようか。篠崎くんの家」
prev * 250/299 * next
+bookmark
| 表紙
×
「#年下攻め」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -