きみをいっぱいにしてあげる


 とうとう来週に学園祭を控えたJSは、朝から賑わっていた。朝早く登校して有志の練習をしている生徒も多く、いつもなら人の少ない早朝だというのにたくさんの生徒が登校してきている。


「あっ」


 沙良のクラスは演劇といった類のものではなく、模擬店をだすため練習という練習はない。沙良がいつも通りの時間に登校すれば、ちょうど校門のあたりで波折と鑓水に出会う。


「……お早うございます」

「うおっ、神藤。おはよ〜」


 鑓水は沙良を発見するなり、わざとらしく波折の肩を抱きにやにやと笑った。むっとしながら近寄ってきた沙良に、鑓水はぼそりと言う。


「……昨日波折とセックスしたんだって?」

「……しましたけど」

「感想は? セックスのときの波折超可愛いだろ?」

「……超可愛いですね!」


 俺の方が波折のことを知ってるぜ、とでも言いたげな鑓水の言葉に沙良はカチンときてしまう。間に挟まれている波折がぽかんとしながら二人を眺めているのにお構いなしに、二人は口論をはじめてしまった。


「何回イカせた? こいつ俺とヤるときめっちゃイクんだけど。ヤったあと立てなくなるんだぜ」

「……は、初めてでそんな激しいのしませんから!」

「え〜? 技術の違いじゃねえの〜? 波折のこと好きならこのやーらしい身体ちゃんと満足させてあげないと」

「できます! 俺がんばるんですからね!」

「ほ〜」


 鑓水と波折の密着っぷりやら沙良が鑓水に突っかかっているのやら、登校してきた生徒たちの注目を集め始めている。それに気付いた波折がとんとんと鑓水の腕を叩くと、鑓水はふん、と笑って波折を離した。


「な、神藤。ちょっとこっちこいよ」

「え?」


 それはそれは楽しそうに、鑓水は波折の手を引きながら沙良を手招きする。向かっている先はどうやら校舎裏。人気(ひとけ)のない場所だ。手入れのされていない雑草が鬱蒼を生えている。冷たい空気が肌を撫ぜるこの場所は、普段は生徒がこないようなところ。


「神藤、おまえ、こいつの気を引きたいんだっけ」

「け、慧太……あっ……」


 鑓水は壁により掛かると、波折を後ろから抱きすくめる。そして、服の下から手を突っ込んで胸を露出させた。指先で乳首をぎゅうっとつまみ上げて、こりこりと刺激してやる。


「悠長にしていると、俺がこいつのこともらっちまうよ?」

「あっ……あぅっ……けいたっ……なにすん、の……ひゃんっ……」


 乳首を可愛がられて、波折は腰が砕けそうになったのか下半身がかくかくと揺れる。しかし、脚の間にぐりっと鑓水の膝がいれられて、それ以上下がっていくことができない。全身をゆさゆさと膝で揺さぶられながら乳首をこりこりされて、波折はのけぞりながらアンアンと甘い声をこぼしていた。

 ぎょっとした顔でそんな波折をみている沙良をみて、鑓水がほくそ笑む。青臭いこの男をからかうのは愉しい。それに今、沙良は恋のライバルだ。敵となる彼が自分にどんな反応をしてくるのか気になった。


「なっ……波折先輩! なにちょっと乳首いじられたくらいでアンアン言ってんですか!」

「それいつものことじゃね? こいつの身体すっげえエッチぃじゃん」

「そ、そうですけど! なんかむかつく!」

「ん〜? ほらほら見ろよ、俺にイジメられてよがってる波折のこと」


 きーっと悔しそうにしている沙良をみて鑓水がけらけらと笑う。波折は自分のいやらしいところを見られることには抵抗がないようで、むしろ興奮しているように見えた。熱に浮かされた瞳がぼんやりと沙良を見つめ、そして身体をくねらせる。


(な、波折先輩の変態……!)


 沙良は苛々としてずいっと二人に近寄った。そして、ぱしりと鑓水の片手を波折の胸から払う。


「波折先輩、俺だってちゃんと波折先輩のこと感じさせてあげれますよね!?」

「へっ……?」


 沙良が鑓水に弄られてぷっくりと紅く膨れ上がった片方の乳首をぎゅっと掴む。もう片方で鑓水がくりくりといじっているのを見ながら、違う責め方をしてやろうと指の側面で根本からつまみ上げ、ぐいぐいと引っ張ってやった。


「やっ……!? やぁっ……ふたりで、とか……だめぇ……!」

「先輩、どっちが上手!?」

「わかんない、よっ……あぁんっ……! あっ、だめっ……やぁっ……ふ、ぁあんっ……!」


 二人同時に責められて、波折はいつもよりも激しい反応を示した。沙良が思わぬ行動にでたことに鑓水は内心感心してしまう。そうだこいつは「ご主人様」から波折を救うためにと真正面からぶつかっていこうとしていた奴だ。思考回路はわりと単純で、喧嘩を売ればのってくるタイプだろう。……面白い、鑓水はそう思った。どっちが波折の心を射止められるか勝負しようじゃないか。

――そして波折は俺達の愛に溺れてどろっどろになっちまえ。


「あっ……けいたっ……!?」

「波折は感じてればいいんだよ」

「ひゃっ……」


 鑓水が波折のベルトを外して、スラックスと下着をおろしてしまう。そして、勃ちあがった波折のものを掴んで、親指で濡れた先っぽをくりくりといじくってやった。

 びくんっと跳ねた波折をみて、沙良が恨めしげに鑓水を睨む。指でいじめていた乳首を今度は口でぱくりと咥えて吸い上げてやる。フリーになった手の片方は背中を撫でまわし、そしてもう片方は臀部へ。窄みをくるくると指で撫でて、つぷりと挿入してゆく。


「やぁあっ……! そんなぁっ……だめぇ、あぁっ……!」

「波折、ほらもっと喘げよ」

「先輩……気持ちいい?」

「きもちいいっ……あぁあっ……おかしくなっちゃう……! やぁーっ……!」


 がく、がく、と波折の身体が震える。それを二人でガッチリと支えながら、全身を同時に弄り倒してやる。強烈な独占欲、そして恋情、強い強い二人の想いが絡み合って波折を雁字搦めにしてしまう。


「はぁっ……あぁあ……あっ……あっ……あっ……」


 頭のなかがびりびりとする。二人から同時に愛されて、どうしたらいいのかわからない。耳孔に舌をねじ込まれ、乳首は片方を引っ張られながらもう片方はちゅうちゅうと吸われ。そしてペニスとアナルを同時に刺激される。腰がガクガクになっているのに座り込むこともできない。


「先輩……昨日教えてくれたところ、いっぱい弄っていますよ。気持ちいいですか?」

「あぁっ……きもちいいよぉ……おしりのなか、とけちゃう……あぁん……」

「おまえどんだけカウパー出してるんだよ。びっしょびしょなんだけど。二人から責められて感じてるとかこのド変態」

「ごめんなさい……おれ、へんたいです……やぁあっ……ああっ……ぐちゃぐちゃにして……あぁん……」


 はー、はー、と波折の息が段々と荒くなってゆく。沙良の指を呑み込んだお尻のなかがきゅうーっとどんどん締まっていって、そして身体ものけぞってゆく。ふる、ふる、と波折が首をふったが二人は愛撫をやめない。


「いくっ……いく、……いく、いく……あぁ……いくっ……イッちゃう……あぁーッ……!」


 ガクン、と波折の腰が大きく跳ねた。ぴゅくぴゅくとペニスから精を吐き出して、そして腰が抜けたように倒れこむ。二人が慌てて身体を支えてやれば、波折はくったりとして虚空を見上げていた。



「あ……あ……」


 ぴく、ぴく、と波折の身体が小さく震えている。恍惚とした顔で呆けている波折を、二人はじっと観察するように見下ろした。露出した下半身やら腹やらがやっぱりいやらしくて、波折の身体つきは見ているだけでムラムラとしてくる。もじもじとしているその脚の間に割入っていってペニスをぶち込んでやったらきっともっといやらしい反応をするんだろうなあ、なんて思うとドキドキと胸が高なってくる。独占したいなあ、この甘くてとろっとろの視線を自分だけにむけてくれたら最高なんだけどなあ、なんて沙良と鑓水は声に出さずとも同じことを考えていた。


「波折ィ、かっわいいなあ、おまえ。顔こんなに蕩けさせてさ」

「先輩……可愛すぎです……」


 波折はぼーっとしながら自分をひたすらに愛でる二人を見上げる。

 最高に満たされた気分だ。欲を言えば、二人に交互にペニスを挿れられて中出しをいっぱいされたかった。もっともっと、この身体を愛して欲しかった。二人の強い想いを浴びせられたかった。


「……も、っと……して……」


 はー、はー、と息を吐きながら波折は睦言のように甘く呟いた。あんまりにもいやらしい格好をしながらそんなことを言われて、二人の理性は陥落しそうになる。しかし……今は時間が迫っている。鑓水は波折を起こしてやって、立ち上がった。


「波折」


 ふらふらとしている波折に、鑓水が声をかける。ゆら、と顔をあげて波折が鑓水をみつめれば、その唇の端が釣り上げられる。


「おまえのこと、めっちゃ幸せにしてやるからな」

「……、」


 波折がぼんやりとしていると、二人の前に沙良が飛び出す。そして、波折の手を握って懇願するように言う。


「……愛しています、先輩のこと、絶対に救います……!」


 沙良がちゅ、と波折に口付けをすれば、鑓水が「ずるい」と言って沙良をはねのける。口論をする二人に抱えられながら、波折は引きずられるようにして校舎へ運ばれていった。

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