変わったりはしない
散々身体を嬲られて、身体がまともに動かなくなってしまって、ようやくベッドにはいることができた。ぼーっと横になる鑓水に寄り添うようにして、波折は身体を丸める。
「けーた」
「ん……」
「もっと寄っていい?」
「……寄れよ」
鑓水が身体を波折の方へ向けて、するりとくっついてきた波折を抱きしめる。波折は鑓水の胸に擦り寄ると、きゅ、と目を閉じた。
「波折……」
「なに?」
「さっきの……俺のこと心配してくれてたの?」
「さっき?」
「酷くしていいって。あんなことわざわざ言ってさ」
「……まさか。ただのセックスのパートナーのこと俺が心配するとでも」
「……だよな」
鑓水はあくまで自分のことを好きになったりしないから波折は身体を許しているのであって。二人の間に余計な情が生まれてしまうような行動はするべきではないと、波折は思っている。でも、あんなに怯えきった人間を、こんなにもそばにいながら無視することはできなかった。
「波折……」
「ん……?」
「俺のそばにいて。離れないで」
「……うん」
少しは落ち着いただろうか。そう感じれば、波折はなんとなく安心することができた。
ただ……鑓水の見せた弱さと、自分がみせてしまった情が掛け算となって、自分たちの関係が変わってしまいそうなことを、波折は恐れてしまった。
「……俺はおまえの性奴隷であり続けるから」
今の雰囲気にそぐわないことをわざわざ言って釘をさせば、鑓水は「うん」と弱々しく呟いて、波折の頭にキスを落とした。