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高二の時に入ったクラスは、二年一組だった。この学校が男子の比率が高い学校だったので、このクラスも女子よりも男子のほうが多かった。

 人の顔を覚えるのは得意だったので、クラス分けされて二、三日で全員の顔も名前も覚えられた。クラスの中心的存在でテストでよく赤点を取っている彼の名は、小林。読書が好きで、図書委員の仕事を一際楽しそうにやっているのは渡辺さん。バンド部でドラムをやっているらしく、一人の時に指でビートを刻んでいるのは石田。休み時間も勉強をし続けて、誰とも口をきかないで過ごしている学年トップの成績の彼は、南波ななみ 。もっとも、名前を覚えたところで彼らの名前を呼ぶ機会はないかもしれないけれど。

 クラスメートの人たちは、みんな俺のことを「不良」と呼んで避けていた。俺とクラスメートの人たちの間には、見えない壁があったと思う。それが寂しいのかと言えば、それはわからない。みんなと同じようにはしゃいでみたいという気持ちがなかったわけじゃなかったけれど、この壁はどうしようもないものだから諦めるしかなかった。はじめから諦めていたから、寂しいのかそうでないのかは、わからなかったのだ。

 それでも、この教室にいると、自分がちゃんとこの社会の中で生きているのだと思えるから、この教室を決して嫌いなんかじゃなかった。




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