甘い恋をカラメリゼ | ナノ
 vingt-huit


 ……人生最大の、自己嫌悪かもしれない。智駿さんの店を飛びだして、俺は駅のホームでがっくりと項垂れていた。

 彩優の頼みであるケーキの予約、できてないし。……それに、智駿さんが云々って、あれ、白柳さんが言っていただけで智駿さんが言ったわけじゃない。いくら白柳さんの言葉にびっくりしたからってあれはないよな……と、自分自身の行動に俺は酷く落ち込んでいた。

 智駿さん、呆れてないかな。やっぱり歳下はガキで付き合ってらんない、とか、男のくせに女々しくて面倒くさい、とか思ってないかな。……そう思われても仕方ないことを、俺はしちゃったし。

 ……あやまんなきゃ。

 とにかく、俺がしたことは最悪だ。はやく謝らなきゃ……そう思って来た道を引き返そうとしたときだ。ポケットにはいったスマホが震えだした。



「あ」

『水曜日の夜に、会えない?』



 智駿さんから、一通のメール。水曜日、はたしかブランシュネージュの営業時間が短い日。ちょうど俺のバイトもない。

 「別れよう」とか、言われないよね?

 怖くて怖くてハラハラしたけれど、俺もさっきのことを謝りたい。俺は震える指で、会いましょうとの旨を返信した。



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