甘い恋をカラメリゼ | ナノ
 trente et un

「……ん」


 鼓膜を電子音が打つ。ぽやぽやと夢見心地でまぶたをあけると、温かいものに身体が包まれていた。ふんわりと鼻孔をくすぐるのは大好きなにおい。智駿さんのにおい。そして、智駿さんのにおいにほんのりと混ざる、お布団の柔軟剤の香り。


「おはよう、梓乃くん」

「……ちはやさん」


 顔をあげると、智駿さんが微笑んで俺を見つめていた。

 カーテンから零れる朝日にきらきらと照らされた智駿さん。まぶしくて、温かくて、なぜだか涙が出そうになる。

 ……智駿さんと一緒に、朝を迎えられた。嬉しくて、たまらない。

 
「おはようございます、智駿さん」

「うん、おはよう。梓乃くん」


 智駿さんがちゅっと俺のおでこにキスをしてくる。くすぐったくて、心地よい。


「梓乃くん、身体……大丈夫?」

「……。ちょっと、だるいかも……」

「ごめんね。僕、昨日……余裕がなくて」

「ううん……いいんです。智駿さんとあんなふうにエッチできて、……すごく、嬉しかった」


 智駿さんが俺をぎゅうって抱きしめて、頭をぽんぽんと撫でてくれる。ああ……また、ねむくなってくる。

 
「まだ、少し時間があるんだ。もう少し……こうしていよう」

「はい……智駿さん……」

 
 ……幸せ。

 こんなに幸せに包まれたのが初めてで、たまらない気分になる。

 智駿さんの背中に腕を回す。全身の肌が智駿さんのぴたっとくっついて、温かい。

 このまま、このまま……時が止まってしまえばいいのに。そんなことを思えるほどに、まばゆい朝だった。
 

prev / next


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -