甘い恋をカラメリゼ | ナノ
 quinze




「これから、どうするの? 智駿さんのところ、いく?」

「うん。授業終わっちゃってるし」

「泊まるの?」

「いや、顔を出しにいくだけ。今日は家に帰らなきゃ」



 アパートの外まで、セラが見送りに来てくれる。俺が智駿さんのところに行くといえば、嬉しそうに笑ってくれた。ビッチだけど、セラは本当にいいやつだ。



「ねえねえ梓乃くん、またうち、おいでよ!」

「うん、今度また」

「エッチしようね」

「しないよ」

「何故?」

「あたりまえですよね」

「はは〜そうか〜」

「ほんとセラって謎だよね。えっちはやっぱ好きなんだ!?」

「あ、そうだ、次に梓乃くんが来る時までに甘い玉子焼きを作れるようになろう」

「……」



 超絶大人っぽくなったと思えば、やはり宇宙人。辛い人生を送ってきたと思えば、やはりビッチ。ちょっと一緒に過ごしたくらいでは、セラのことはわからない。

 奇っ怪な友人ができてしまったなあと思いながらも俺は、次はいつセラの家に来ることになるだろうと考えて――彼に背を向けた。



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