甘い恋をカラメリゼ | ナノ
 quinze



「こういうの、久々ですね。智駿さん」



 ある日の、梓乃くんとのデート。久々に僕たちは、ラブホテルに来ていた。気分転換というやつだ。最近はのんびりと過ごした流れでセックスをしているから、こうしてセックスをするって意識するのは久々の感覚。なんで僕がわざわざこんなところに来たのかというと、梓乃くんと思いっきりセックスをしたかったから。とにかく今の僕は、梓乃くんを抱きたくてたまらなかった。

 なんで僕がこんなことになっているのかというと。凛と食事をしたときの会話が原因となっている。



『結婚は、事情があってできないから、しない。でも――』



 あのとき自分で言った言葉に、自分が奮い立たせられたのだった。僕のなかで梓乃くんへの愛おしさが爆発して、とにかく抱きたくなってしまった。



「智駿さん」



 バスローブを来た梓乃くんが、僕のとなりに座ってくる。そしてそっと僕に寄りかかってきて、指を絡めてきた。誘惑の仕方も、何もかもが梓乃くんは可愛い。おしとやかなのにすごく色っぽくて。何をしても僕のツボにはいってくるのはなんだかもうすごいなって思うくらい。性格も顔も好きだし、セックスのときの梓乃くんも大好きだから、僕はこんなにも梓乃くんに夢中になっている。

 そうだ、いつもの僕ならこんなに一人の人に夢中になったりはしない。それが昔の僕と今の僕の違い。たとえば昔の僕は嫉妬とか独占欲といった感情を知らなかったから、今、梓乃くんにそれらの感情を抱いている僕は、昔とは変わったということになる。こうしておしとやかで色っぽい梓乃くんを他の人には絶対に見せたくないし、僕だけの前で乱れて欲しいって思うのは、今の僕だけ。



「……智駿さん、あの、せっかくこういうところにきたし……」

「ん?」

「すっごく、激しいの……して欲しいです……」

「……どうしようかな」

「え、してくれないんですか?」

「最後には思いっきり鳴かせてあげるよ」

「えっ、智駿さんまたいじわるするんですか、もう」



――梓乃くん。僕だけの、梓乃くん。本当に可愛くて、愛おしい。いじわるがしたいって思ったのも、梓乃くんが初めてだ。僕の知らない僕を引き出す梓乃くんが、大好き。



「……へへ、」



 するりと、梓乃くんがバスローブの帯をとく。恥ずかしそうに顔を赤らめながらも嬉しそうなその表情。僕が思わず見とれていれば、梓乃くんは「あんまりじっと見ないでください」って言って微笑んだ。

 白い布が、すとんと落ちる。あらわになる、絹のような綺麗な肌。お風呂に入ってきたばかりでほんのりと血色のいい肌は、やわらかそうだ。本当に綺麗な身体だなあって思う。



「あっ……」



 押し倒すと、梓乃くんは淑やかに吐息を吐いて、僕を受け入れる準備をしていた。綺麗だ。ただじっと眺めていたいって思うくらいに、今の梓乃くんは綺麗。このままめちゃくちゃに抱くのはもったいない。



「んっ……智駿さん……」

「マッサージしてあげる」

「あ、……」



 綺麗な身体、すべすべの肌。じっくりとそれらを楽しみたい。僕はそう思った。

 なにやらアメニティとしてついてきていた、アロマオイル。それを梓乃くんの体の上にたらしてみる。香りは華やかなハーブの匂い。とろみがあって、ローションとしてもつかえそうなものだ。



「力抜いてね」

「ぁ、……、ん……」



 梓乃くんのお腹にオイルをたらして手のひらで伸ばしていく。そうすれば梓乃くんの体がてかりを帯びて、妙にいやらしい。梓乃くんの体の形のいやらしさが、てかりのせいで顕著になっている。



「う、ぅ……」



 ひく、ひく、と呼吸のリズムに合わせて梓乃くんのお腹が上下していた。大きく円を描くようにして体をなでてあげれば、梓乃くんはぎゅっと目を閉じて深く息を吐く。感じているみたいだ。乳首がぴんっと勃って、つま先がもじもじとシーツを掻いている。



「綺麗だね、梓乃くん」

「ん、ぁ……」



 マッサージという体(てい)で体を触っているせいか、梓乃くんは声を我慢している。指を唇でぱくりと噛むようにしながらふーふーと息をしている姿は、かなりいやらしい。すごく気持ちよさそうに顔を蕩けさせているのに、そんなふうに我慢されると……火がついてしまう。



「ここ、ほぐすからね」

「あぁ……」



 胸を、手のひらでゆっくりと撫でる。梓乃くんは全身が性感帯ではあるけれど、胸を触った時の乱れ方はかなり可愛い。梓乃くんが感じる箇所は多々あれど、見ている僕としては胸を触られたときの梓乃くんの感じ方が特に好きだから、胸ばかり責めてしまう。大丈夫、全身触ってあげるからとりあえず今は胸を触らせて、なんて頭のなかで謝りながら、僕は梓乃くんの胸を責め始めた。



「んっ……んっ……」



 胸を、ぐいぐいと揉んでみる。胸を触られると梓乃くんは声が少し高くなる。そして、無意識なのか意図的なのかは定かで無いけれど、のけぞって「もっと触って」とアピールしてくる。この、雌っぽさのあふれる感じ方が、とにかく可愛い。いやらしい仕草ではあるのに、「可愛い」が先行して心がふわふわするくらいに、可愛い。

 外側から内側に胸の肉を持ってくるようにして、小さな小さな谷間をつくる。そして、なんとか手で肉を鷲掴みして、円を描くようにして揉み上げる。女の子じゃないから胸はないけれど、こうすれば十分に揉んであげることができる。ぐいっ、ぐいっ、とそうやって揉めば、梓乃くんは「んっ……ふ、ぅ……」なんて鼻をぬけるような可愛い声をあげながら、脚をもじもじさせた。



「気持ちいい?」

「きもち、いい……です……ぁ、ん……」

「乳首も柔らかくしてあげるね」

「んっ……ふ、ぁあ……」



 指先で、乳首の頭を撫でる。

 梓乃くんの乳首は前に比べてちょっと大きくなった。全然、可愛い小さなサイズではあるけれど、前とは変わったと思う。僕がいじりすぎたせいだ。乳首を触られたときの梓乃くんの反応が可愛すぎて、ついついいじめたくなってしまう。梓乃くんは乳首を触ると顔をふにゃっとさせて、目を潤ませながら弄られている自分の乳首を見つめる。僕の指の些細な動きをみてはぴくんと震えて、そして刺激を与えればためいきを吐くように甘い声をあげる。



「みて。梓乃くんの乳首、綺麗になってきたよ」

「んん……ん……」



 梓乃くんの乳首は触ると、まず固くなる。こりこりになって、赤く充血する。それでもずっといじり続けると、全身の肌がピンク色になってきて、梓乃くんの堅くなったものからとろとろとした液体がでてくる。そうすると、また乳首の固さは変わる。こりこりしていたものが、ぷくぷくと弾力をもつようになって、さらに色も薄いピンク色になる。こうなってきたときが、梓乃くんがすごく感じているとき。こうなるまでいじってあげると、そこからの梓乃くんは思いっきり、可愛らしく乱れてくれる。



「あぁ、……う、……んん、……」

「乳首もよくなってきたね。じゃあ、次は……」



 梓乃くんの体を反転させて、うつ伏せにしてあげる。そうすると梓乃くんは「んんっ……」って可愛い声をあげてくれた。



「……綺麗だね」



 梓乃くんの背中は、すごく綺麗。背筋とか肩甲骨とか、凹凸がくっきりと影をつくっている。ほんの少しでも梓乃くんが身動きを取れば、その凹凸が動いて梓乃くんの背中の表情が変わっていく。それは見とれてしまうくらいに綺麗で、まるで芸術品のようだ。お伽話というのか空想話というのかわからないけれど、人間の肩甲骨は天使の羽の名残だと言われているから、こんなに綺麗な背中はを持っている梓乃くんは、もしかしたら天使だったのかもね、なんてくだらないことを考えたりもして。

 だから、僕は梓乃くんの背中が見える体位でセックスをするのが好きだったりする。梓乃くんはどちらかと言うと僕の顔を見て抱かれるのが好きらしい。もちろん僕も梓乃くんの可愛い顔を見ながらするのは大好きだけれど、それでも背中も捨てがたいなあなんて思うくらいには、梓乃くんの背中は綺麗だ。



「あっ――……は、……」



 そして――梓乃くんは背中を触れたときに、とても扇情的な乱れ方をする。



「ん、……は、ぁ――、……」



 シーツを握りしめて、額を枕に押し付けて。詰まるような息遣い、背筋を伝う汗。背中を責められたときの梓乃くんは、いつもの乱れ方とは少し違う。可愛く鳴くというよりは、淑やかに喘ぐ。胸とかアソコを触られたときとは感じ方が違うのかもしれない。まるで別人のように色っぽい喘ぎに、僕はいつもどきどきする。

 肩甲骨に唇をよせて、軽く噛む。そして、舌先でちろちろと舐めてやると、梓乃くんが「んんっ……」と鼻を抜けるような声をだす。髪の毛が汗でしっとりとしてきたからか梓乃くんのうなじからはシャンプーの匂いが漂ってきていて、まるで雄を誘うためにフェロモンを出している雌花のようだ。どこもかしこもいやらしい。



「綺麗。綺麗だよ、梓乃くん」

「はぅっ……」



 汗ばんできた梓乃くんの肌は、ツヤがでてくる。こうなるとまた一段と綺麗だ。少しもったいないけれど、僕はその上にオイルを垂らしてみる。ぽた、と一滴。そうすると梓乃くんはびくんっ、と体を震わせる。また、一滴、また、一滴。びく、びく。一滴垂らすたびに梓乃くんの背中がいやらしく反応して、うっかり大量にかけそうになってしまう。



「オイルだけでこんなに感じて……梓乃くん、マッサージとかいけないんじゃない?」

「……、智駿さんの、せい、だ」

「ふふ、僕のせい?」

「智駿さんのせいで全身がいやらしくなっちゃった、」

「そうだね、僕のせい。じゃあ、もっといやらしくなろうね」



 ぐ、と強く背中を押すようにして両手で触れて、そして腰から肩甲骨までなで上げる。それこそ、マッサージのように。細い梓乃くんのくびれを掴むようにしてなでて、そして体の形を堪能するように肌に触れてゆく。そうすれば梓乃くんはのけぞって、悩ましげに眉を寄せながら目を閉じる。



「ふ、……」



 唇に指をあてて、声を漏らして。そんな梓乃くんは勘弁して欲しいくらいに色っぽい。僕に撫でられて腰をくねらせる姿なんて、目が離せない。



「ちはやさん……」



 少しだけこっちをみて、肩越しに僕を見て。顔を真っ赤にして目を蕩けさせている梓乃くんは、僕を挑発でもしているかのようにいやらしい。

 お尻がぴくぴくしていて、脚ももじもじしていて。涙目だから、きっと梓乃くんはすごくエッチな気分になっているんだと思う。



「もう、……だめ、ちはやさん……はやく、……」

「――……いいよ。でも、お尻もちゃんとマッサージしなくちゃね」



 肩越しの、甘い視線。僕を誘惑するそれが、僕の中の嗜虐心を煽る。多分僕は、今までおかしな性癖なんてものはもっていなかったと思うけれど、最近の自分に向かってそれを断言することはできない。梓乃くんの、「いじめて」と訴える瞳に刺されると、僕はおかしくなってしまう。きっと世間一般に変態と言われるようなことを、たまらなくしたくなる。

――だめ、なんだ。本当に梓乃くんは僕をおかしくする。梓乃くんに出会うまでの20年以上の人生をまるっきり変えてしまう、そんな彼は、僕にとって毒であり甘い蜜。

 もっといじめたい、もっと辱めたい、その想いが怖いくらいに湧いてきて、そして抑えられない。



「ち、……はやさっ……それ、はずかし、……」



 梓乃くんをまた仰向けにして、そして腰を思い切り持ち上げる。脚を頭側に持ってくるようにして、ちょうど後ろにでんぐり返しをするような格好。僕に思い切り恥部を露出するようなポーズをとらせた。



「しっかりマッサージするからね」

「あっ……やあぁあ……」



 晒されたヒクついているお尻の穴に、オイルをとろとろと垂らしていく。オイルは穴の部分にたまって、そしてとろりとこぼれ落ちてゆく。梓乃くんのお尻の穴があんまりにもひくひくと動いているから、たまったオイルが僅かに波打っていた。

 指の腹で、たまったオイルを掻き回すようにしてこしょこしょと穴をなでてみる。そうすると梓乃くんが「ぅん、……う、ぁ、……」なんて可愛い声をあげるから、もっと触りたくなった。梓乃くんはすっかり顔をとろんと蕩けさせていて、こうして焦らすようにしてお尻を触られることが嬉しくてたまらないみたい。親指の腹でぐりぐりすると、ぎゅーっと穴が締まって梓乃くんの体がぶるぶると震えだす。



「梓乃くんのここ、綺麗だよね。じゃあまずゆっくりなかをほぐしてあげる」



 とろとろの梓乃くんの顔。それからすっかり僕に開発された、女の子になってしまったお尻。可愛くて可愛くて、梓乃くんの顔をみればいいのか、お尻をみればいいのかわからない。もちろん梓乃くんの顔が大好きだしずっとみていたいけれど、僕の色に染まって僕を求めてくる梓乃くんの体は本当に可愛くて、顔と体どっちを選んだらいいのかわからない。

 とりあえず、感じている梓乃くんの顔がみたいという欲求が勝って、僕は梓乃くん顔を見下ろしながらお尻の穴に指を挿れていった。



「ふ、ぁ、……あー……、あぁー……」



 挿れた瞬間、ぎゅううっとなかが締まって僕の指を締め付けてくる。この、激しい締め付けが大好きだ。本当に梓乃くんが感じてくれているってわかるし、僕が欲しくて欲しくてたまらないって言っているみたいだし。指一本挿れただけでこんなになってしまう梓乃くん――これからめちゃくしゃになかを掻き回すから、どうなるのかわくわくする。

 梓乃くんのなかは、とろっとしていた。キツく僕の指を締め付けてはいるけれど、やわらかくてとろとろ。オイルをかけながら出し入れをしていくと、まるで梓乃くんのお尻から愛液が出ているような、そんなふうに見えて興奮する。梓乃くんのお尻からは、大量のオイルがたらたらと垂れていた。



「んっ、んっ、んっ……」



 梓乃くんはすっかり僕に全てを委ねていて、お尻の穴を見せつけるポーズのまま、くてんと全身の力を抜いている。ぷらんと揺れている梓乃くんの足が、妙に可愛らしい。こんな風に「どうにでもしてください」ってされると、僕はかえって苛めたくなるもので。



「梓乃くん、聞いて。すごい音」

「んぁ、……あん、……あ……」



 梓乃くんの穴に指を二本突っ込んで、くちゅくちゅと円を描くようにしてかき回した。わざと音をたてるようにしてやったから、ぴしゃぴしゃとオイルが梓乃くんのお尻の肉に弾いている。大きな音がたってしまって恥ずかしいのか梓乃くんは顔を真っ赤にして目を潤ませている。



「んっ、……んん、……」



 恥ずかしそうに、しおらしそうに。そんな仕草をしているのに、梓乃くんの体はエッチだ。僕がかまわずお尻の穴をかき回していると、梓乃くんのものがぴくぴくと動いて、そしてぴゅっぴゅっと白濁が飛び出した。格好も格好だったから、梓乃くんの出したものはそのまま、梓乃くん自身の胸、そして顔にかかってしまう。



「あらら、梓乃くん、でちゃったね」

「や、……あぁ、だめ、また、……でちゃ、……」



 梓乃くんは自分の精液が顔にかかったのが恥ずかしいのか、顔を真っ赤にしている。それでも僕が梓乃くんのお尻のなかを掻き回すのを止めないでいれば、梓乃くんはふるふると顔を振った。なかが、ひくひくと細かく痙攣している。太ももがぷるぷると震えていて……この反応で、梓乃くんが次にどうなってしまうのか、予想ができた。



「やっ……だめっ、だめっ……」

「んー?」

「やぁっ、やー……」



 ぐいぐいとしつこく前立腺を刺激していると。梓乃くんが、ぷしゃっと潮を吹き出した。もう、梓乃くんに潮吹きをさせるコツは掴んでいる。僕が梓乃くんに潮吹きして欲しいと思った時に、いつだってさせることができる。この、梓乃くんが自分で出したものが自分にかかって恥ずかしいことになってしまう体勢。潮吹きさせたいって思うのは仕方ない。

 たくさんでてくるそれが、梓乃くんの顔にびしゃびしゃとかかっていく。梓乃くんは嫌がる様子も特になく、目を閉じて恍惚としていた。梓乃くんもかなりのマゾだから、潮吹きをさせられてそれが自分の顔にかかってしまうという状況が、イイのかもしれない。



「ん……ちはや、さん……」



 睫毛がきらきらとした雫に飾られている。その雫が梓乃くん自身が吹いた潮だって思うとすごくいやらしいと感じるけれど、濡れた梓乃の瞳は綺麗。とろんとした視線が僕の心臓を穿つ。

 梓乃くんを焦らすのが、好きだ。ぎりぎりまで焦らして、僕を限界まで求めて欲しい。強く強く僕を求めて、それでもくたりと力なく横たわる、そんな梓乃くんがものすごく好き。こんなにも可愛くて愛おしい彼が僕のものなのだと実感して、くらくらする。



「全身、びっしょりだね。梓乃くん」

「は、……ぁ、……ちはやさん、……」

「可愛い。おいで、梓乃くん。もっと濡らしてあげる」

「あ……」



 こうなると僕も、我慢の限界がやってくる。焦らされている梓乃くんを見て、僕もまた焦らされているのだ。お互いがぎりぎりまできたとき、そのときに一つになると、最高に気持ちいい。

 梓乃くんを抱き起こして、僕と向かい合わせる。そして、とろとろになった梓乃くんのなかに、挿れた。もうすっかり全身蕩けている梓乃くんは、対面座位をするのはちょっとつらそうだけど、がんばってもらう。



「は、……は、……おく、……きもち、い……」



 座位は梓乃くんの最奥をぐっと刺激することができるから、僕も梓乃くんも大好きだ。なかに挿れて、奥に押し込んであげれば、梓乃くんは昇天したかのように、うっとりと瞳を潤ませた。



「ふ、……う、ぅ……」

「なか、ひくひくしてる。可愛い」

「すき、……ちはやさん、すき、ぃ……」



 ぎゅ、と抱きしめてあげると、梓乃くんのなかがビクンッと締まった。はぁー、はぁー、と梓乃くんの息が荒くなってゆく。焦らして焦らしてとろとろになった梓乃くんは、ひたすらに愛してあげると感じてくれる。ほんとうに、可愛い。

 濡れた髪の毛を耳にかけてあげて、おでこにキスをする。まぶたと、鼻と……顔にキスの雨を降らせると、梓乃くんのなかが細かく痙攣を始める。触れるだけの僕のキスでこんなに感じてくれる梓乃くんが愛おしくて愛おしくて、辛抱できずに僕は梓乃くんの唇に噛み付いた。ぐっと梓乃くんの後頭部を抑えながらキスをすると、梓乃くんの身体が強張って、ビクビクッと弾ける。



「んっ、……んん、ん……っ、」



 梓乃くん、イッてる。梓乃くんのペニスからまた潮がでてるし、梓乃くんからすごくいい匂いがし始めるし。キスでイケる梓乃くんが可愛くて、僕は少しずつキスを激しくしていった。ほんのり、腰を揺らしてみると、梓乃くんの唇から唾液がこぼれてしまう。ああ、もう、本当に気持ちいいんだなあって愛おしくなって、なかへの刺激も強めていった。

 梓乃くんの体を上下に揺らすようにして、奥を奥を突き上げる。ずぷっ、ずぷっ、と水っぽいいやらしい音がする。なかはもうとろとろで柔らかくて、激しく揺らしても何一つ抵抗はない。蕩けた梓乃くんの声がどんどん大きくなってゆく。



「ちっ……はや、……さ、……あっ……あぁ……」



 歯がぶつかってしまうから、名残惜しいけれど唇を離す。でも、梓乃くんの後頭部に手を添えて、目だけはしっかりと合わせた。吐息のかかる距離で目を合わせて、激しく体を揺する。真っ赤になった可愛い顔が目の前で切なそうな表情をしているから、すごく、興奮した。

 梓乃くんのなかがキツく締まってきて、僕の限界も近くなってくる。梓乃くんも、一緒にイッてくれると思う。抽挿の速度を早めて、梓乃くんの頬を両手で包むようにして掴んで、お互いを絶頂に追い込んだ。梓乃くんがいっぱい感じてくれて、ぐちゃぐちゃになっている顔が、目の前で見ることができて、ゾクゾクする。



「あっ、あっ、あっ、あっ」

「イッて、梓乃くん――」

「いくっ……いく、いくっ……」



 びくびくんっ、と震えて、梓乃くんは僕の目の前でイキ顔を見せてくれた。梓乃くんのこんなにいやらしい顔をこの距離で見ることが出来るのは僕だけ。こみ上げる独占欲と共に、僕も達した。



「は、……は、ぁ……」



 くったりと動けなくなった梓乃くんは、僕を涙目で見上げてくる。もう、本当に可愛い。耐え切れず、僕は梓乃くんを掻き抱いた。

 梓乃くんは思うように動けないのか、腕を僕の背にゆるりと回すだけ。でも、すりすりと顔を僕の首筋にすり寄せてくる。「ちはやさん、」ってか細い声が、僕の心を震わせた。



「梓乃くん……愛してるよ、」



 ただただ幸せなだけなのに、泣きそうになる。愛おしいという感情が、ここまで苦しいものなのかと。きっと梓乃くんだけが、僕にそう思わせてくれる。


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