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青い鳥よ、おまえは飛ぶために翼をもっている。

なんて美しき青い羽、しかし羽ばたかなければそれは価値がない。

おまえは飛ぶために生まれたのだ、飛んでいる姿こそが美しい。

青い鳥よ、いつか空の香りを私に届けておくれ。







「聞いたことのない詩(うた)ね。貴方がつくったの?」

「まさか。昔本でみたんですよ」



 黒髪の青年は、青空を仰ぎながら言う。
 


「今は亡きワイルディングの初代当主が詠んだ詩です」



 空の中を、一羽の鳥が泳いでいる。青年は目を細め、誰に言うでもなく呟いた。



「この空を見ていたら、彼のことを思い出してしまったのです」

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