11(2)
「……は、……は、……」


 ハルが別荘を出て行ってから、1時間ほど経つ。付けられた貞操帯を意識しないようにしていても、ふと動いた瞬間にナカでボコボコとしたディルドが擦れ、ジンジンとした刺激がこみ上げてくる。しかし、手で触ることもできないので、ただもどかしい刺激に耐えるばかり。ラズワードはベッドの上にうずくまり、時間が過ぎるのを待つことしかできなかった。


「う……」


 身体の中に熱がこもっていると、どうしても淫らなことを考えてしまう。

 ここ数日、たくさんのいやらしいことをされてきた。それでも、やはりハル自身の肉棒で奥を突かれたときが一番気持ちよかった……。

 ぼんやりと頭に浮かべるのは、ハルとの激しいセックス。ラズワードは彼に抱かれているときのことを思い出し、無意識に腰をゆらゆらと揺らしてしまう。


「あっ……あっ……」


 腰を揺らすと、ナカのディルドがわずかに揺れて、少しだけ刺激が強くなる。もどかしさに焦れていたラズワードは、その刺激が欲しくなってしまった。頭の中で、ハルに突かれている自分を想像しながら、その動きに合わせて腰を揺らす。


「ぁんっ、あんっ、……」


 気持ちいい……。

 自慰をしている、という意識もないまま、ラズワードは腰を振って熟れた自らの身体を慰めた。少しずつ、少しずつ、下腹部が熱くなってゆく。頭がぼーっとしてきて、意識がふわふわとしてくる。


「もっと、……もっと……ハルさま……あっ、あんっ……ハルさま……あぁんっ……」


 獣のようにシーツの上に這いつくばり、腰を振り続けた。記憶の中のハルが、あの大きな手のひらで腰をがしりと掴んで、ズンズンと奥を突いてくる。それに合わせて、ラズワードは腰をふった。自分は今、彼の肉棒でめちゃくちゃにされている――そう考えると、身体がジワッと熱くなる。


「あっ、あっ、あっ、あっ」


 ああ、ハル様に、バックで犯されているみたい……。きもちいい……。

 無様なことをしてる、と。そんなことを考える余裕もなかった。しかし、無意識に涙がこぼれてくる。こんなふうに一人で身体を慰める必要なんて、今までなかったのだ。ハルが優しく抱いてくれたから。

 寂しくて、寂しくて、たまらない。

 誰のせいなのか、そこまでは考えられなかった。頭が真っ白だ。もう、まともな思考能力すらも奪われていた。ただ「寂しい」と、その感情だけがラズワードを満たす。


「あんっ、あんっ……! ハルさまっ……もっと激しくして……もっと、もっと……あぁっ」


 貞操帯のせいで、イけない。どうすればイけるだろう、苦しい。ラズワードはもっと強い刺激を求めて、乳首を触り始めた。這いつくばり、尻を振り、乳首をこねくり回し。ひどい醜態をさらしながら、必死に身体を慰める。


「イかせて、ハルさま……おねがい、ハルさま……あぁっ……あぁ……」


 どんなに腰を振っても、イけない。辛くなってきて、ラズワードはがくっと腰を落とす。


「うう、うう……はるさま……」


 うずくまるような体勢で息を整えていると、ピ、と電子音のようなものが小さく響く。ラズワードはその音に気付いていなかったが――次の瞬間、ヴヴヴヴヴ! とディルドが激しく振動を始めたので、ビクンッ! とラズワードの身体はしなってしまう。


「あぁぁあアあァッ!?」

 
 何、何!?

 何が起こったのかもわからず、ラズワードは四つん這いになりながらビンッと背中を反らせ、叫ぶようにしてあえぐ。

 ラズワードのナカで、ディルドが暴れていた。ブルンブルンと激しくナカをかき回し、さらにはジュボジュボと伸縮を始める。ただの張形だとばかり思っていたディルドは、実はバイブレーターだったらしい。しかも、自動でスイッチが入るように設定のようだ。もちろんラズワードはそんなことは知らないので、突然アナルを激しく責められ、混乱するしかない。


「だめだめだめだめっ! あああああああっ! イクッ! イク――ッ!!!!」


 イけないのに、イく――……

 頭の中で星がはじけるような感覚がした。

 ガクンッ、とラズワードの身体は崩れ落ち、ビクビクと小刻みに痙攣を始める。無情にも震え続けるバイブレーターはラズワードのアナルをぐちゃぐちゃにかき回し続け、ラズワードは唇の端から唾液をこぼしながら目を回していた。


「あぅ、あ、あ、はるさま、あ、おゆるし、くらさ……あ、あ、いく、いってます、おれ、いってる……あっ、また、 ……イクッ……」


 ビクンッ、とラズワードの腰が跳ね上がる。そのとき、ようやくバイブレーターが止まった。

 しかし、ラズワードの身体の痙攣は止まらない。強すぎる快楽に、限界を迎えたようだった。

 まだ、日が高い。ハルが帰ってくるまで、あとどのくらいだろう。またバイブレーターのスイッチは入るのだろうか。


「はるさま……たすけて、はるさま……」


 ラズワードがぼろぼろと涙を流し始める。そのとき――また、バイブレーターのスイッチがはいる。


「あぁぁぁあ―――!! イクッ!! イくゥゥゥ――――!!!!!!!!」


 不規則に動くバイブレーター。ラズワードは休む間もなく、責められ続けた。
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