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5月1日0時〜5日23時の期間にて実施させて頂いた投票企画跡地です。
サイト一周年の記念品として「再生する春」の番外編を書くにあたり、その内容を皆さまの投票により決めたくアンケートを設置させて頂いた次第です。書いてみたいな、と思ったネタ三つを項目として挙げました。

5月5日23時を持ちまして投票は締め切らせて頂きました、沢山のご協力とコメントをありがとうございました!それぞれにお返事は出来ませんが、コメントは一つ一つ目を通しております。

▼こんな企画概要でした


( ※主人公名は「アルト(デフォルト名)固定」 )

 
 「いかにも、って感じの雰囲気だね…俺こういうの初めて見た」
 「だが流石に真新しいな。街の景観と比べりゃ浮いてる」

 今朝上陸したばかりの島の中央に聳える、頂上が尖った円錐形の屋根が特徴的で「お城」と聞いたら五人中三人ぐらいは思い浮かべそうな外観を有した石造りの巨大な城は、遠目から見ても充分存在感が在る。
 三年前に不審火に因って財宝諸とも焼け落ち、当時の王も崩落に巻き込まれ亡くなったが、その一ヶ月後に旅行から帰ってきた元国王の弟が私財で建て直したのだそうだ。完成したのはつい先月の事らしい。

 工事用の重機など一つも見当たらないこの国で城を丸ごと建てるとなると相当な労働力と資材が、そしてそれに見合った金が必要だったろう。己の貯えを差し出す事を惜しまなかった弟は大層国民に支持され、城の除幕式の場において先代に仕えていた側近達から正式に王を継ぐよう求められのだと、先程立ち寄ったレストランの店員が誇らしげに説明してきた。

 「まあそればっかりは仕方ないよ、これから年月経つ内雨風に晒されて石の素材ならではの味も出てくるんじゃ――ッ、と、」
 「きゃ、っ!?」

 俺が城を見上げながら話していたのが不味かった。斜め前を歩くローにそう応じつつ視界の端に映った横道を曲がろうとした折、その角から女性が現れたのだ。ぶつからないよう咄嗟に足を止めたのはお互い同じで、けれども女性は踏ん張りが利かなかったのか或いは小石でも踏んだか、バランスを崩して少し横によろけてしまう。
 直ぐ傍は民家で、道路と私有地を隔てる柵からは綺麗な薔薇が何本か飛び出している。あまり手入れがされておらず棘が生えっぱなしの茎を視認し、思わず片腕を伸ばして女性を肩から抱き留めていた。

 「すみません、此方の不注意で。前を見てなかった」
 「いえ、私もちょっとぼんやりしていて…。ありがとうございます、ごめんなさい」
 「妹の言う通りだ、お気になさらず」
 「コイツがぼーっとしてたのも事実だ。そっちも気にするな」

 言い様からして女性の兄だろう、一拍遅れて角から温和そうな面差しの男性が顔を覗かせた。相手の気遣いにローが一言返して場の空気が一段落したものになる。
 見知らぬ男に触れられたと言うのに嫌がるでもなく申し訳なさそうな笑みを見せてくれる女性から腕を離し、今度は余裕を持ってすれ違えるようにと一、二歩下がったところで、ふと俺の手元を見た女性が細く息を呑んだ。

 「あっ……!?」
 「…貴方がた、もしかして…!」

 同時に男性もローを見つめて瞠目する。二人の視線がそれぞれ此方の手元と腰元――ローが持つ長刀、俺の腰にベルトで吊られた木刀に注がれている事に気付いて、致し方ない反応とは言え若干悪い事をした気分になった。直ぐに海賊だとは察しがつかなくとも俺達が善良な一般人でない点は見た目からして明らかだ。
 不要な恐れを抱かせたか、と念の為に害意は無いと告げるべく両手を肩の高さまで挙げる。だが俺が口を開くより先に、華奢な十本の指が俺の片手を捉えた。

 「…お願い、助けてください!」

▼ ▼ ▼


一見平和に栄えている島に降り立ったローとアルトの前に現れた兄妹。それぞれが武器を携えた海賊である二人を見るなり何故か助けを求めてきた兄妹は、国民から慕われている新国王の秘密を握っており、その秘密を軸にとある計画を練っていたが障害に突き当たっていた。
その障害排除と計画遂行に、他でもない海賊たる二人の助力を請いたいのだと頼み込まれて――。



▼投票項目

パターンA:ドレスアップコンビ
「週末に開催される舞踏会に乗じて事を起こしたいのだけど…私もお兄様も顔が割れているから、可笑しな動きをすれば怪しまれてしまうし、何かあっても衛兵に敵わないと諦めかけていたの。お願い、貴方達に代理参加を頼めませんか!?」
舞踏会当日、富裕層が集まるとあって警備が厳重になると予想される城内への潜入には流石に懸念が大きい兄妹。その為堂々と城に入れる機会であるダンスパーティーの出席権を敢えてアルトとローに譲りたいと提案してきたものの、そのパーティーは男女ペア限定で参加が許可されるらしく――?
【ベタ要素:礼装・女装】

パターンB:燕尾服コンビ
「週末に開催されるお茶会に乗じて事を起こしたいのだけど…そのお茶会、各自の自慢大会のようなもので。誰でも参加は出来る代わりに男性はお抱えのメイドを、女性は執事を連れていなかればならないの。家族の同伴は却って情けないと見なされるし…お願い、貴方達一日だけ私の執事役になってくださいませんか!?」
公的な理由で城内に入れる唯一の機会、「お茶会」への参加資格たる専属従者を持たない少女とその兄からの頼み事。しかしながらローもアルトも貴族の作法はおろか他人に仕える身としての礼儀など知り得ない生業な訳で――。
【ベタ要素:執事】

パターンC:義兄弟コンビ
「あの人、実はまだ正式な国王ではなくて…週末に戴冠式があるの。其処で私との婚約を発表するだなんて言うものだから…私つい、別の島に将来を誓った人が居ると嘘をついてしまって。そうしたらその男を連れて来いと…。お願い、貴方達どちらか、恋人のフリをしてくださいませんか!?」
どうやら次期国王から求婚されており、強引に進められる婚姻を権力の差から破談に持ち込めずに居る少女の頼み。話を詳しく聞いたローはアルトを恋人役に推薦し、且つ自らもアルトの兄役として潜入に同行すると言い出して――?
【ベタ要素:偽婚約者】

投票の結果、パターンAドレスアップコンビの執筆が決定致しました。票数確認はこちらからどうぞ。尚、本企画にて内容が決定致しました番外編のアップ開始は六万ヒット記念フリーリクエスト企画の終了後を予定しております。


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