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陽が差している。薄らと目を開ければ部屋の明るさがそろそろ起きなければならない時間だと告げているが何を隠そう今朝は絶好の寝坊日和だ。なぜなら自分の他にもうひとつ、規則的で穏やかな呼吸が聞こえるから。珍しく名前が寝過ごしている。いつもなら自分より随分と早く起きて身支度を整えているというのに隣ですうすうと寝息を立てて気配がする。疲れが溜まっているなら起こす理由はない。たまにはいいだろう。彼女を今一度抱き締め心地良く二度目の眠りに落ちようとしたその時、違和感がそれを邪魔して飛び起きた。

「………は?」

…名前が、いない。代わりに隣で寝ているのは3、4歳くらいの幼い子どもだけ。

「…んー…」

ころんと俺の方に寝返りをうったその顔を覗き込むとそれはそれは可愛らしい女の子だった。しかも、名前によく似ている。というか、瓜二つだ。

「名前…?」

「…ふ…わぁ…」

短い手足をぐぐぐと伸ばし欠伸をして薄らと目を開けた子どもはしばらくぱちぱちとまばたきをして眠気の海を漂っていた。そしてふいに俺の方を見る。まんまるい宝石のような瞳と目が合った。

「きらきら……」

「そりゃお前だろ。…一応聞くが名前は?」

「名前」

「歳はいくつだ?」

「しゃんしゃい…」

三本の指を立てようとしたが残念ながらそれは四本だ。しゃんしゃい。…そうか、しゃんしゃいか。無意識に手で顔の下半分を覆った。なんだコイツ、可愛いじゃねェか。起き上がった幼女はここが自分の家ではないことに気付いたようで部屋を見渡した。

「ここどこ?」

「そのうちお前が暮らすとこ」

身なりは名前が着ていた物だ。恐らくこのガキは名前本人で、何らかの方法で子どもに戻ってしまったらしい。

「俺のことは総悟と呼びな」

「そーごおににちゃ?」

「……違ェけど良いわ」

色んな意味で。とりあえず名前を連れて近藤さんのところへ向かうことにした。足が短くて歩くのに時間がかかりまくるため肩車してやるとそりゃあもう楽しそうにきゃあきゃあ言って笑った。

「えっ何それ隊長何ですかそれどこから拐ってきたんですか!?」

「おーザキ。見てわかんねーのかデートの邪魔すんじゃねぇや」

「は!?えっ!?いやそれどう見てもデートじゃなくて子守…ってその子めっちゃ可愛くないすか!?え!?もしかして名前ちゃん!?」

「…こあい」

ぎゅっと腕に力がこもる。大声でまくし立てる山崎を怖がっている。

「『こあい』だとよあっち行け」

「いや……何がどうなってんすか…」

「寝て起きたらこうなってた」

「沖田隊長アンタ名前ちゃんに何か危ない薬とか飲ませたんじゃないでしょうね?」

頭上にいる子どもを怖がらせない為に極限に声のボリュームを抑えて訴えてくる。

「飲ませるんならもっと面白いモン飲ませるに決まってんだろィ」

「そのゲッスい顔その子に見せない方がいいっすよ…」

「総悟お前また寝坊か!…ん?どうしたんだそのガキ」

通り掛かったのは近藤さんと土方のヤローだ。行く手間が省けた。身体ごと振り返れば二人と名前がばっちり目が合った。

「……おににちゃ、抱っこして」

黒服のゴリラと愛想の無い仏頂面が揃っちゃそうなるだろう。肩車から下ろして正面に抱き上げるとぎゅうぎゅうしがみついてきた。

「怖がらせないで下せェよ」

「総悟お前まさかそんな趣味が…!?」

んなわけないでしょうと返して経緯を説明する。と言っても俺自身よくわかっちゃいない。近藤さんは「健康面でも問題はなさそうだからとりあえず様子を見よう」と言いニコニコ笑いながら子ども相手に遊び始めた。そのうち他の隊士達も集まりどうにかこの天使のように愛らしい子どもの気を引こうとあれやこれやと奮闘し、初めは人見知りしていた名前もそのうち俺のそばを離れ楽しそうに庭を駆け回っていた。

「名前って意外と活発だったんだな」

「あのくらいの子どもはみんなそうでしょう」

「お前は活発っつーよりただのクソガキだったけどな」

「あざーす」

「褒めてねーよ」

当然だが子どもを全く相手にする気のない土方の野郎の口元にはいつまで経っても火が付けられることのない煙草が咥えられている。

「自分の女のガキの頃の姿見るってどんな感情だ?」

「ふつーにめちゃくちゃそそりまさァ」

「やべーなお前、名前なら何でも良いんだな。一歩間違えたら犯罪者だぞ」

「そーごおににちゃ、お花どーぞ」

見れば鬼ごっこの輪から外れた名前が花を差し出していた。

「ありがとな」

次に隣にいる土方にそれを差し出した。表情は強張り不安そうだ。怖いなら近寄らなきゃいいのに敢えて距離を詰めて行くところが名前らしい。

「………どーぞ…」

「あーちょっと待て」

一輪の花を受け取りごそごそとポケットを漁って引っ張り出したのは薄気味悪いマヨネーズの妖精が描かれたシールだ。どうせパッケージについてた物だろう。恐る恐る受け取りそれを見たまんまるい瞳がキラキラと輝いた。

「わあ!ありがとー、」

「土方だ」

「…ひじゅかた」

「名前ちゃん、コイツのことはトシって呼んでやってくれ。その方が呼びやすいだろ?」

近藤さんに促されシールを大切そうに持った名前は土方さんへの警戒を解いたようでニコッと笑った。

「…トシ!ありがとう!」

「おう」

ぶっきらぼうに返事して煙草を吸い込むが火が付いてないため口の端からすぅと空気が漏れただけだった。
この日はちょうど町内で花火が行われる日で、例に漏れず真選組は警備にあたる事になっていた。俺は早々に仕事を抜け出し女中のおばちゃんが家から引っ張り出してきたという子ども用の浴衣を着た名前を肩車して花火を見ることにした。

「わー…花火きれいねー」

「うるせーだけだと思ってたがなかなか風情があるな」

「ふぜいがあるなぁ」

「意味わかってねーだろ」

面倒くさい奴らに会わなきゃいいと思っていたが、こんなに人が多ければ会うこともないだろう。自分の顔より随分と大きな綿飴を食って顔中ぺたぺたになった名前を拭いてやり背中におぶって帰る頃にはうとうとと目を擦り始めていた。

「眠ィなら寝ちまいな」

「んー…きょうたのしかった、おににちゃ、ありがとう…」

途切れ途切れに礼を言い身体の力が抜けていく。

「あのね、トシがやさしくてうれしかった」

「そりゃ良かったな」

「名前、トシすき」

「……はぁ?」

すぅ、とひとつ大きな息をついて眠りに落ちた子どもはそれっきり起きることなく幸せそうに寝息を立てていたのだった。






「あれ?戻ってる……」

翌朝、名前の呟きで目が覚めた。見ればあの小さな子どもは姿を消して成長した自分好みの女が起き上がり手のひらをじっと見ていた。

「覚えてんのか、昨日のこと」

「総悟くん…」

名前の話ではアレは紛れもなく幼い頃の自分で、今の人格はぼんやりと頭の中にあったが映画でも観ているかのように客観的な映像として映っていたらしい。振る舞いも言動も当時の自分のままだったと。

「確か前日に銀ちゃんに会って飴もらったんだ。すごく変な味の」

「人から貰ったモンを食うなって言ってんだろ。しかも飴なんざ…前の薬物事件のこと忘れたのか」

「銀ちゃんだから変なものじゃないと思って」

「旦那の存在自体がもう怪しいだろ」

「ひどいよ」

「ひどいのはどっちだよ」

腕を引っ張って自分の腕の中に閉じ込めるとやっと名前の身体を抱き締められて心が落ち着いた。あの小さな彼女もなかなかに可愛かったが、このくらい成長していないとするものもできない。俺が捕まる。

「そういやお前、土方が好きなんだって?目の前で他の男に擦り寄ってくとこ見せるなんざ新手のプレイかと思ったぜ」

「ち、ちがうよ!あれは子どものわたしがシール貰って嬉しかっただけで」

「一緒だろーが」

「ちがうって言ってるのに。あれは土方さんの………」

「ひでェ女だな、これから致そうってのに男の名前呼んで」

「……何を致すの?」

「お仕置き」

その四文字に名前の眉が嫌そうに反応した。朝っぱらから何をするのかと視線が拒否してる。

「昨日から我慢してたんだからな」

「昨日って、まさか子どものわたしに変なこと考えてたんじゃないよね?」

「自分の女に欲情して何が悪いんでィ。あのくらいの歳から調教してやれば今のお前になる頃には完璧に俺好みのメス豚に育て上げられたのに残念だったな」

「わたしは全然残念じゃないけど…むしろ嫌」

「まぁ別に今の名前で満足してるけどな。いつまでも初心な所とか」

抵抗とも言えない微かな抵抗を見せた名前を引き寄せて唇を合わせる。軽く触れて柔らかい感触を何度か味わい舌先でペロリと舐めるとそれだけで肩がぴくりと震えた。後頭部を支える手に少し力を入れて濡れた唇に深くかぶり付けば細やかに口を開け応えた。薄く目を開けるとほんのりと染まる頬。舌を絡めれば恥ずかしさを隠すように俺の腰辺りに手を回し抱きついてくる。

「何回ヤっても初めてみたいな顔すんの、わざとか?」

「っ知らないよ、自分じゃ見えないもん」

「ふーんじゃあ見せてやらァ」

手を伸ばして鏡台にかかっていた布を落とし名前を起き上がらせ正面に座らせると察したのか逃げようと腰を浮かす。

「……やだ、見ない」

「お仕置きっつったろ」

後ろから抱き込んで髪を掻き分けて現れた首筋に吸い付く。白い肌に赤い跡を散らしつつ手を伸ばすのは形の整った胸の膨らみ。襦袢の上から触れると恥ずかしそうに顔を伏せた。

「ほら見ろよ」

「やだってば、」

「目逸らしたら全身マヨネーズプレイなんてどうだ?今後土方のこと直視できねェくらいすっげーヌルヌルにしてやらァ」

「っ総悟くんの変態…!」

「逆に俺がド変態だって今まで知らなかったのか」

「あ、やっ…、」

全体を揉みしだき布越しに擦っているうちに襦袢の上からでもわかるほどぷっくりと姿を現したそれを指先で刺激すればふるりと首を振る。

「可愛がってるとこ、ちゃんと見な」

俺を見ろと耳元で囁くとようやく顔を上げて鏡越しに目が合う。瞳を濡らして羞恥と期待に葛藤している表情が何とも言えない。前を開き肌を出せば朝の澄んだ光の中でたった今生まれたかのように無駄のない綺麗な身体が姿を見せた。肩や背中にキスをしながら直に柔らかな塊の感触を確かめ先端を刺激すればいつもより良い反応が返ってくる。

「自分の感じてる顔どう?」

「っわかんないよ、総悟くんしか、みてな、ぁっ、ん、」

「すっげーそそる。その顔」

顔を上げさせ唇を合わせながら手を腹の下まで伸ばせばしっとりと温かい液体が小さく音を立てた。

「まだ触ってねーぞ?」

「…っ、っ、だって、」

「ん?」

「そ、ごくんが意地悪だから、」

「つーことは名前も立派なドMって事だな」

目の前にある名前の唇を舌で割いて奥まで侵入すると苦しそうな呼吸とともにぎゅうと俺の服を掴み舌を差し出す。始める時こそ羞恥が勝るが次第に欲に溺れ一生懸命愛撫を返してくる素直さといやらしさにすっかりハマってしまっている。それを素面でやってくるからコイツには素質しかない。むしろもう計算でも何でもいい。ゆったりした舌の動きに合わせて湿った場所に置いた指を軽く滑らせるとくぐもった声が喉から漏れた。

「んっ、ん…っ」

鏡越しの名前の表情に身体が汗ばむのがわかる。暑い。片手で自分の衣類を緩めながら大きく足を開かせた。

「もう…や、だぁ、」

「濡れて光ってら」

腿の裏に腕を入れて固定しよく見えるようにしてやればぎゅっと目を瞑った。そこに愛液を塗り込むように指を這わせる。

「入れるけど」

「言わなくていいから……」

「指じゃねーモン入れるかも」

「えっ!?」

ぱっと顔を上げた名前の視線を絡め取りながらそれを埋めるとビクッと大きく身体を震わせた。

「ああっ、!」

「嘘」

「ひ、どいよっ、ぁ、ああ、んっ」

「ぐちゃぐちゃだな。つーか朝なのにそんな声出して大丈夫か?」

「〜…っ……、だったらそんな、動かさないでっ…」

「朝練してる連中に聞こえちまうかもなァ」

徐々に水音も増して指の動きが耳だけでも分かるくらいになってくると名前の表情もとろんと甘く溶ける。その瞬間が好きだ。

「ほら前見ろ」

すぐに二本目を差し入れ動かせば腰が揺れる。良いところを執拗にテンポ良く攻めると喘ぐ声が追い詰められていき、ギリギリまで声を抑えながらビクビクと痙攣してイった。

「んっあ!はっ、はぁっ……」

もたれかかる名前にキスをしながら体勢を変える。四つん這いにして尻を上げさせ自身のモノを当て、くち、と入り口に先端を付けて囁いた。

「ほら、欲しけりゃどーぞ」

荒い呼吸を繰り返しながら涙目で振り向いて恨めしそうこちらを見る名前のエロさに視線が奪われる。が、表情は崩さない。

「っ、ほんと朝からいじわる、」

「いじわるじゃなくてお仕置き、な。早くしねーと萎えちまうけど?」

萎える訳がないがそう言うとほんの少し腰を押し付けてくる。

「ぅ…っあ、むり、」

「もっと押し付けないと入んねー」

「ん…っ!待って、急に動かないで…っ」

「あと少し、自分で入れてみな」

「っ、う……、っんん、…」

羞恥に勝った欲情によって腰を動かしぐぐ、と柔らかな壁を押し入っていく。じんじんと熱を持つ部分がどうしようもなく気持ちいい。しっとりと迎え入れた肉壁の中に全て収まる頃には一刻も早くその先の快楽を欲しがるように締め付ける。

「は、いった、?」

「どう思う?」

「やぁっ」

揺らせばぐちゅぐちゅと音を立てる。やがてそれだけじゃ足りなくなり後ろから名前の身体に覆いかぶさり密着させて大きく腰を振る。

「あぁっそうごく、っおく、だめっ」

「昨日の名前もすげー可愛かったけどやっぱ、ガキの姿じゃ、こんなことできねーからダメだなっ、」

「うぁ、あ、っ、ん」

「すっげ熱い。なんで今日そんな締めてくるんでィ。…ああ、鏡あるからか」

ちがうと首を振るが喘ぐのに精一杯で言葉にならなかった。奥に突く度に髪が躍る。いつもは顔の見えない体位で名前の表情がよく見える。

「ヘェー。バックの時そんな顔してんだ」

俺の声に反応してきゅうと締め付ける素直さが可愛い。俺が鏡ばかり見ていることに気付いた名前は四つん這いの両手を動かして何とか鏡が見えない位置まで移動しようとするが手を浮かしたタイミングで上体を起こし立ち膝にして両腕を引き寄せて打ち付ける。不安定な体勢で更に奥に入り込んで下から突き上げていく。腰の動きに合わせて揺れる胸と結合部、そして快感に悶える表情が鏡いっぱいに映し出された。

「やあぁっ!みちゃだめっ、ぁっ」

「やだ。俺のこと見て」

「ーっ!」

「トロトロで可愛い」

背後から指を口の中に突っ込んで小さな舌を可愛がる。溢れる唾液が喉まで伝っていく頃、名前が限界を訴えた。

「そ、ごっくんっもうだめ、っ」

「いいぜ」

最奥にぴったり付けて名前の好きなところをグリグリと押すと激しく身体が跳ねた。

「っあぁ!それっやぁ…っ!」

「名前ん中気持ちいい」

いよいよ自分の身体を支えていられなくなった名前を布団に寝かせ正面で片足を上げ更に突いていく。俺も迫り来る射精感と快楽の波に我慢できず声を漏らす。その度にきゅうきゅう締めつけてくる。これ、ヤバい。

「っは、イきたかったら言って」

「い、イきたい、けど、キスしたい……っ」

「おねだり上手だな」

「んんっ」

「っ舌、噛むなよっ」

揺さぶりながら舌を口の中まで突っ込むと喉奥が嬌声で震えていた。端からどっちのか分からない唾液が零れ落ちる。

「で?誰のことが好きだって?」

「あっあ、そ、うごく、そうごくんっ、すき…っ!」

「良くできました」

「ん、ん、ふっあっあ、いっちゃ…っ!」

全身を震わせて迎えた絶頂のお陰できゅうきゅうと収縮するナカに全部持ってかれそうになり奥の奥に突いたものをギリギリで抜き出して腹に欲を吐き出した。肩で大きく息をする名前の至るところにキスをすると絡ませた手を持ち上げて名前も俺の指に唇を当てた。すき、と囁いた熱く濡れた呼吸が指にかかり、満足したはずの下腹部が早くもじくりと痺れた。

「口ん中に突っ込んでやろうかと思った」

「…苦いからいや」

「その嫌がる顔を見るのが醍醐味だろ」

わかってねーなと言いながら名前の身体と自身のモノを拭いてごろんと横になる。外では鳥のさえずりが聞こえ遠くで隊士達の話し声も微かに聞こえてきた。朝練が終わったのだろう。爽やかな朝に裸で横たわることに罪悪感を覚えたのは一瞬で、それより気怠げに目を擦る名前の仕草が幼い頃の彼女のそれと同じで悪いことをしたような、それでいて満ち足りた気分になりこれだから自分の性癖は厄介だと内心呆れた。

「あーねむ」

「朝から疲れることするから…いた、」

「無理して起き上がんな。腰死ぬぞ」

「でも支度しなきゃ。今日洗濯係だもん」

「洗濯物なんて持てねーだろその身体じゃ。それに外は雨だし」

「…思いっきり晴れてると思うけど……」

「いーや、すっげー雨降ってらァ。そりゃもうザァザァと」

わかり切った嘘を吐いて呆れ顔の名前に覆いかぶさりちゅ、ちゅ、と唇を合わせて火照った身体をくっ付ける。ふわふわと柔らかい肌に萎えかかったモノを擦り付ければすぐに熱が集中する。察したのか俺の下で身体をくねらせた。

「や、もう無理」

「誰が一回で終わりなんて言った?」

「わたしだって、いいなんて言ってないもん」

「今のは昨日の分。こっからは今日の分。まだ足りねぇ」

「わたしは足りました」

「足りねーってここが言ってる」

「んん、や…触っちゃだめ」

「洗濯係は代わってもらって今日は俺の相手しな。旦那に礼言いに行かなきゃならねーし」

「もうやだってばー……」

「ガキの頃の名前は奴らにくれてやってもいいが、今のお前は誰にも渡さねェ」

争奪戦に負けるつもりはないが、いつか俺に会う為に成長していくあの子のささやかな好意くらいは譲ってやっていい。けれど目の前にあるこの女の全ては俺のモンだから、ちゃんと目立つところに名前書いとかねーと。

「きゃっ…ちょっと、そんなところにキスマーク付けないで…っ」

「見られて都合悪ィ男でもいんのかよ」

「いないけどだめ!」

「いっそ全身に歯形残してェくらいなんだけど」

「歯形…!?」

だって仕方ねェだろ、敵が多すぎんだよお前の周りは。

みんなきみがすき

結局仕事を遅刻してしまう二人(部屋の戸に『起こした奴は殺す』って紙貼ってあるから誰も近づけない)(洗濯は色々察した山崎さんがやってくれました)


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