彼氏が前に好きだった女の子、気になっちゃうものだよね?

私が知らない子で学校も違うんだったら、ここまで気にしなかったと思う。
こんなにも気になっちゃうのは、ツナが前に好きだった子が私もよく知る可愛い女の子だから。



『ツナー、私の事、本当に好き?』

「えっ!?ど、どうしたんだよ、いきなり」

『だって、前は京子が好きだったんでしょ?』

「んなー!!名前、何でそれを…!!」

『某ヒットマンさんからの情報です。』

「リボーンだな!!てか、別に気にする事じゃないだろ!?」

『じゃあ、ツナは京子のこと好きだった時、京子に好きな人がいるのか、とか気にならなかった?』

「う…っ、そ、それは…」

『でしょ?気になったことあるでしょ!?』

「そ、そりゃあ……」



ツナは気まずいのか、語尾がどんどん小さくなっていく。

京子のどこが好きだったの?なんて事は聞かない。

だって理由は分かるもん。
優しくて可愛くて花が咲くような笑顔は男女問わず嫌に思う人はいない。
京子は天使みたいな女の子。



『……』



私がツナの口から聞きたいのは、そういう事じゃなくて、好きという言葉。

いつもツナは照れて、ちゃんと言ってくれないから京子とツナが仲良さそうに話してると、どうしようもなく不安になっちゃう。

そういう時はどうしても「言葉」が欲しいと思ってしまう。



『……ねぇ』

「な、なに?」

『私が前に山本君が好きだった、って言ったらどうする…?』

「………は?」

『どうする?』

「え…、ちょっ、な……っ、えぇ!?初耳なんだけどっ!?だ、だったら何でオレの事を好きに…っというか山本…っ!?あの山本!?」

『でしょ?慌てるでしょ?私の気持ち、そんな感じ』

「へっ!?」

『例えばだから、例えば!私が好きなのは最初からツナだけだもん』

「……!!」



例え話だと理解してツナは心底、ほっとした様子でベッドに腰を下ろす。

山本と言えば、いつでもどんな場所でも中心になってしまうような人物。
ダメツナと呼ばれていたツナが慌てるのも無理はない。



「…と、というかさ」

『なに?』

「オレ、京子ちゃんの事は、あ、憧れって言うか…」

『憧れ?』

「う、うん…、その、上手く言えないけど憧れてたんだ」

『憧れ…』

「れ、恋愛感情は、す、少しくらいあったかも知れないけど、今は名前だけだから」

『ツナ…』



本当?とジッとツナを見つめると照れくさそうに頭をかきながら頷く。

普段は少し頼りないのに今日のツナはすごく真剣に私を見つめている。
それでも、やっぱり面と向かって「好き」と言うのは照れくさいみたいで、顔を赤くして呟いた。



「…オレは、名前が好きだよ」

『……!!』












『ツナ…!!』

「ちょっ、抱きつくなよ、は、恥ずかしいから!!」

『いいじゃん、少しくらい!大好き!』

「…〜…っ!!」



end



2009/01/22

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