幼なじみの沢田綱吉。 つい、この前まではダメツナって呼ばれてたのに、いつの間にか皆の中心にいるのが面白くない。 ツナは優しいし、ランボたちの世話も焼いたり友達思い。 ダメダメな所は数え切れないくらいあるけれど、それ以上にいい所がたくさんある。 友達が出来るってツナの良いところ、みんなにも知ってもらったって事なのに、そんなの私だけが知っていればいいんだ、って思っちゃう。 つまりはやきもち。 だって、私はずっと昔からツナが好きだから。 「それじゃ、お邪魔しました、ツナさん!また来ますね!!」 「あ、あぁ、うん…、じゃあな、ハル…」 『……』 あの制服、緑中だったっけ? 確か頭がいいって有名な中学校。 ツナ、いつの間にそんな学校の子と仲良くなったんだろう。 ハルと呼ばれる、元気で明るくて素直な女の子。 ツナのことが好きらしく頬を染めている姿は誰から見ても恋する乙女。 「……やっと帰った。相変わらずだなー、ハルの奴」 『……』 「…名前?」 『…へぇ、ハルちゃんって言うんだ、さっきの可愛い子』 「えっ!?」 可愛かったね?両想いだったりして!と嫌みったらしく言うとツナは慌てて首を横に振った。 顔を真っ赤にして、そういう反応されると余計に怪しい。 まさか、本当に好きだったりして? 『……』 私とツナは付き合ってる訳じゃない。 ただの幼なじみだから、こんな事を言っても感じが悪いだけ。 せめて、もっと可愛くやきもちを焼けたらいいんだけど、計算で動けるほど恋愛の経験値なんてない。 はぁ、とため息一つ。 そこらにあった雑誌を取り、読む振りをした。 『……』 「名前、どうしたんだよ、今度は黙っちゃって」 『別にー、ツナってばモテるなぁって思っただけ』 「な、なんだよ、それ!別にモテてないって!」 『ツナの事、好きだって言ってたよ、さっきの子。』 「そ、それは、別に深い意味なんて…!!」 『…それとも京子ちゃん?だっけ?あの子が好きだったりしてー!』 「えっ!?」 『顔、真っ赤!当たった?』 「え…、あ…、その…っ」 ツンツンツンツン。 あぁ、もう!何で、からかうような嫌みったらしい言葉しか出てこないんだろう。 ツナも困った顔してる。 ハルちゃんまでと言わないけど、もう少し素直で可愛い女の子になりたい。 「……と、というか」 『何よ』 「……やきもちじゃあるまいし、なーんて」 『………』 そう言うとツナは笑って頭をかく。 その様子に苛々しちゃって雑誌で顔を半分、隠して呟いた。 少しは私の事を意識してよ、ばか。 『やきもち……だもん』 「へー、そっかー…」 『……』 「……って!えぇっ!?今、なんて!?」 勇気を出して呟いた言葉。 小さい声だったけど静かな部屋だからツナに届いたみたい。 『そんなに驚くこと?』 「だっ、だって!や、やきもちって!!オレの事が好きみたいじゃん!」 『………悪い?』 「え…、ちょっ、名前…っ!?」 雑誌で顔を半分、隠したまま、チラッとツナを見た。 ツナは目をパチパチさせて頬を赤く染めている。 『顔、赤いよ、ツナ…』 「だ、だって…っ!!というか、その…」 『待った。』 「えっ!?」 『返事はいらない』 ツナは私の事、幼なじみ以上に思ってないのは痛いほど分かってるつもり。 だから、ツナの言葉を止めて顔を見ず、そそくさと立ち上がる。 そのまま部屋を出ようをした時、ツナに腕を掴まれた。 『ちょっ、離して!返事はいらないってば!』 「……」 『……?ツナ?』 「その…、名前…」 『な、何よ…』 「オレの気持ち、聞いてくれる…?」 『……!?』 ツナは私を緊張した面持ちで真っ直ぐに見つめる。 そして「好きだ」って言ってくれた。 今の言葉は本当? 本当にツナは私のことが好きなの? 「……っ」 『…ー…ッ』 ドキドキして言葉が出なくて、ツナを見るのが精一杯。 ツナも同じように私を見ていた。 ツナが私の腕を掴む力が緩むと同時に、どちらともなく小さく笑った。 真っ赤な顔はお互い様! 二人の気持ちは一緒なんだ! end 2009/01/03 |