いつもクールでポーカーフェイスな私の彼氏、雲雀恭弥。 たまには笑った顔や色んな表情を見てみたい! そう、本人に言ったなら余計に素っ気無い態度になるに違いない。 怒った顔や不機嫌な顔はしょっちゅう。 笑顔なんて片手で数えられるくらいしか見たことない。 もっと色んな表情を見たいな。 でも、どうしたらいいんだろう? ……くすぐってみる? だめ、咬み殺されちゃう。 じゃあ、流行のギャグを言ってみる? これもだめ。絶対にバカにされる。 元ネタを知らなきゃ何、言ってんのこいつって感じだもの。 『……』 「………」 黙々と風紀の仕事をしている彼を見ていると私の視線に気づいて声をかけてくれた。 「名前、どうしたんだい」 『んー、別に…』 「……」 『あ…、もしかして私、邪魔しちゃってる?』 「…大丈夫」 恭弥の視線は、また机の上の書類に移る。 伏せたまつげ、綺麗な黒髪、少しつり上がった目、凛とした声。 恭弥って、どうしてこんなに素敵なんだろう。 彼を見ていると一つの言葉しか思いつかなかった。 『ねぇ、恭弥ー』 「今度は何?仕事中なんだけど」 『大好き』 「は……?」 『あれ?聞こえなかった?』 「聞こえた、けど」 『ふふ、よかった』 そう、彼を見ていたら好きとしか言えない。 意地悪で我侭で俺様なのに何でこんなに好きなんだろう。 今だって、いきなり好きだなんて言ってバカじゃないの?と鼻で笑ってるに違いない。 呆れてるだろうなと苦笑いしながら恭弥を見ると私から視線を外していた。 『え……?』 「……なに」 『あ、あれ?恭弥、顔が赤いよ…?』 「……煩いな。」 『め、珍しいね、どうしたの…!?』 「……君のせいだよ」 『私!?私、何かした!?』 「…バカじゃないの。不意打ちだなんて卑怯だって事だよ、名前」 『……!!』 私限定の君! 『そういう表情、私にしか見せちゃやだよ?』 「…君じゃないと、こんな風にならないよ」 『……っ』 end 2009/06/11 |