一月一日、元旦。 ダメ元で彼氏である恭弥を初詣に誘ったら、やっぱり撃沈。 いつもはここで引き下がっちゃうけど、今日は少し粘っちゃおう! 『お願い!初詣、行こうよ!』 「やだ」 『………』 「……」 『ねぇ、恭弥…』 「行かない。」 『………』 恭弥は雰囲気的に和って感じなのに行事にはまったく関心がないのね…!! 群れが大嫌いな恭弥だから仕方ない。 新年早々、目の前で初狩りされては困ってしまう。 恭弥の家でまったりと過しているから嬉しいけど、やっぱり初詣に行きたいな。 去年は恭弥との両思いという願いが叶ったから今年は神様にお礼と、恭弥と来年もこうしていられますようにってお願いしたい。 『恭弥、あのー…』 「そんなに初詣に行きたい理由はなに?」 『え……』 「その様子、ただ行きたいだけじゃないでしょ」 『えっと、そのー…神様にお願いごとしたいなって思って…』 「お願い…?一体、何を?」 『何をって、それを言っちゃだめじゃない!』 「あぁ…、叶わなくなるから?」 『うん、そう!』 「ふぅん……」 『恭弥は何か願いごとはないの?』 「ないよ」 『…一つも』 「一つも。全部、叶えたから」 『……?』 「並盛の風紀乱す奴はいないし名前も傍にいるからね」 『え…っ!?』 「それで十分。」 『……っ』 普段は素っ気無くツンツンしてるくせに、さらっとこういう事を言うのは反則だと思う。 恭弥の言葉で顔が赤くなっている私を見て、彼はふっと笑った。 「……ねぇ」 『な、なに…?』 「僕から離れたら咬み殺すから」 『へ……!?』 「名前が嫌がろうが手放すつもりもないけどね」 『……っ』 「……」 『きょ、恭弥……』 「変な顔。で、初詣に行くの?」 『え…?』 「行きたいんでしょ?」 『あ……、い、いい。……行かない』 「何で?」 『……、…願い事、叶う、から』 「………」 恭弥を見ると、せっかく付き合ってあげる気になったのに、とでも言いたげな顔。 恭弥の機嫌を損ねちゃったかもしれない。 だけど、いいんだ。 恭弥が私のお願いを叶えてくれるから。 神様に頼まなくても これからもずっと一緒。 end 2009/01/02 |