十二月二十五日、クリスマス。
私は家でこたつでぬくぬくしていた。
家族たちはそれぞれ映画を見に行くとか食事に出かけてしまったから一人きり。

昨日はツナ達とクリスマスパーティーしたけど肝心の私の恋人は来なかった。
私の彼氏「雲雀恭弥」は群れるのが嫌いだから当たり前と言えば当たり前なんだけど、イヴかクリスマス、どちらかは一緒に過ごしたかったな。

でも、恭弥は一人で静かに過したいんだろうな。
クリスマスなんて人が群れてわいわいするイベントは意地でも参加しないだろう。

そんな彼の性格を分かっていても、ため息が出てしまう。



『……』



一応はたまにはどこかに出かけない?って誘った。
だけど「やだ」と即答されちゃどうしようもないよね。

というか彼女からのクリスマスの誘いを断る男ってどうなの!?

バイトもしてないし忙しいって訳じゃないでしょ!?
そりゃあ、冬休みの宿題はたくさんあるけど……あれ?そういえば、恭弥にも宿題ってあるのかな。

……恭弥が宿題なんて似合わなすぎる。



『はぁ…、くだらない事を考えてないで宿題でもしよう』



自室から宿題を取りに行って、出来る限りこたつから出たくないからジュースとお菓子も用意しコタツに入る。

こたつの中へを入ると、すっかり冷たくなった足も温まる。
こんなに温かいと眠くなってきちゃうな。



『……お昼寝もいいかも』



だらだら、うとうとしていると家の訪問ブザーが鳴った。
眠いし外は寒いからこたつから出たくないのが本音。

だけど、もう一度、ブザーが鳴ったから仕方なく立ち上がり玄関へ向かった。



『どちら様ですかー?』

「名前、遅いよ。…早く開けて。」

『え……、恭弥…?』

「……」



扉を開けると声の主は、やっぱり恭弥だった。

そういえば、私服姿って初めて見たかも…!!
つい、ぼーっとして恭弥を見つめていると恭弥も私をじっと見つめた。



「ねぇ、寒いんだけど」

『へっ!?あ…、よかったら上がってく!?』

「そのつもりで来たんだよ」

『……そーですか』

「……」



これお土産ね、とそっけなく私に箱を渡すと恭弥は家に上がる。
何かと思って中を見るとショートケーキだった。



『ケーキ…?』

「……」

『ねぇ、恭弥…』

「ん?」

『……』



恭弥を見たら既にこたつの中でぬくぬくと温まっている。
ヒバードも一緒だったみたいで、こたつのテーブルの上に転がってるみかんの隣に並んでいた。

……図々しいな、まったく!!
ヒバードは可愛いからいいけど!



「何?」

『何じゃなくて、なんでケーキ…』

「別に。町を歩いてたら目に入ったからね」

『まぁ、クリスマスだし売り出されてるだろうけど……恭弥、今日は忙しかったんじゃないの?』

「そんな事、一言も言ってないけど」

『へ…?だって、どこかに出かけない?って言ったらやだって…』

「クリスマスなんて、どこも群ればかりじゃない」

『それが理由で断ったの?』

「そう。出かけるのはね」

『えっ?』

「何、その顔」

『そ、それってどういう……』

「……変な顔」



恭弥が「おいで」と手招きするから控えめに傍に寄るとグッと腕を掴まれ唇が重なった。
外はよほど寒かったのか恭弥の唇は冷たかった。



「……名前となら過ごしてもいいってことだよ」

『………っ』












『ねぇ!ケーキ食べよう?』

「その前に宿題やりなよ、ここ間違ってる」

『え…』

「正解したらケーキを食べさせてあげる」

『えぇーっ!?』



end



2009/01/02

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