五月五日、僕の誕生日。 僕が唯一、傍にいることを許している恋人の名前に言われるまですっかり忘れてた。 それを言ったら君は呆れた顔で僕を見る。 仕方ないだろ。 興味ないんだから。 そっけなく答えたら「だって誕生日だよ?私なんてすっごくそわそわしちゃうのに!」なんて無邪気に言う君が可愛いと思ったのは内緒。 「別に僕の誕生日なんて気に止めることじゃない」 『なんで!?お祝いしたいよ!』 「何もしなくていいから」 『誕生日なのに!もう!何でそんな事を言うかな?大切だよ!?』 「だから?」 『祝いたいじゃない!』 「別にいいよ」 『なっ、なんで!?』 「誕生日なんて重要視してないから」 『雲雀にとってはそうかも知れないけど、私にとっては特別な日なの!』 「ふぅん、そういうもの?」 『そういうもの!』 「へぇ…」 『あからさまに興味がない返事しないでよ、もう!ねぇ、何か欲しいものある?』 「欲しいもの?」 『だーかーらー!誕生日プレゼント!』 「プレゼント、ね…」 考えても特に思いつかない。 だって、僕が欲しいものなんて既に手に入っていて、こうして傍にいるんだから。 『ねぇ、本当に欲しいものないの…?』 「ない。」 『……』 「じゃあ、誕生日も名前が僕の傍にいればいいよ」 『……それだけ?』 「それだけ。」 それだけでいい。それだけがいい。 君がいればいいんだよ。 「……」 君さえいれば、それだけで僕にって特別な日になるんだから。 だから、これからも一緒にいなよ。 言葉になんてしないけど、君なら分かってくれるよね。 十年後だって僕の隣は君だけだ 「……でも、せっかくだし君を頂こうかな」 『はいっ!?ちょっ、何で押し倒してるの!?』 「だめ?」 『た、誕生日、おめでとう…』 「……OKってことだよね」 end 2008/05/05 |