こうしてジョット様と私はジャッポーネへ旅立った。 もうイタリアには戻るつもりはないらしい。 ジャッポーネの、のどかな雰囲気はイタリアとは違う懐かしさがあった。 これから住む大きな家の前に立ち、見上げる。 他の守護者達はもう到着しているのかなと、ドアを開けるとシンとしていた。 『あれ…?』 「どうかしたか?」 『ジョット様、守護者の皆は…?』 「……」 『ジョット、様?』 「少し抜けていると思っていたが、ここまでとはな」 『……?』 「ここは私とお前が暮らす家だ」 『はい…。えっと…?』 「二人きりでだ」 『二人、きり…?』 「あぁ」 『え…、あの…?……あ、あぁっ!!』 「やっと分かったか」 『はい!部下の次はメイドですね!!家事は一通り出来ますから頑張ります!』 「……」 『ジョット様のジャッポーネご隠居生活はこの私が必ず快適なものにします!!お任せください!』 「………」 『あ、あれ…?』 やれやれと頭を悩ませてるジョット様。 私、また何か変なことを言っちゃった…っ!? 『ジョット様?』 「ジャッポーネでは様付け禁止だ。引退したと言うのに肩が凝る。」 『す、すみませんっ!では、何と呼べば……』 「呼び捨てで構わない。敬語も控えてくれるか?」 『えぇ!?む、無理ですよ…っ』 「ボンゴレのボスである"私"はもういない」 『……ジョット、様?』 「これからは私もお前も、ただの男と女だ。」 『男、と…女…ですか?』 「あぁ、だから…」 『……?』 「"オレ"の女になれ。名前」 『はい…っ?』 「……よし、いい返事だ。さぁ、荷物を解くぞ」 『へ……、え…えぇ!?』 疑問系で「はい?」って言ったのに無理矢理、話を進めたよ、ジョット様!! 大体、オレの女になれって何!?何を言ってるの、ジョット様は…っ!! ポカンとしていればジョット様は「文句があるか?」とでも言うような笑みを浮かべる。 文句なんてあるはずないです、と素直に言えず私は恥ずかしさから黙々と荷物を解いていった。 『……』 昔、ジョット様に拾われた日、あなたがマフィアのボスだと知って驚いた。 昨夜、いきなりジャッポーネに行くと聞かされ驚いた。 そして今日もまた、あなたに驚かされるばかり。 だけど、今日くらいは私も驚かせたいって思う。 『……』 ボスと部下じゃなくて、ただの男と女なら……伝えてもいいよね? 『ジョット、様…』 「なんだ?」 『私、その…私、は……』 「……」 『ずっと、あなたのことが、好き…でした…』 「知ってる」 『………え?今、何て?』 「だから、知っていると言った」 特に驚いた様子はなくしれっと言うジョット様。 私は大声を上げてジョット様を見た。 『えぇ…!?な、何でですか…っ!?』 「直感だ。…オレの自惚れでなくよかった。」 『……ッ!!』 「名前」 『あ…、は、はい…っ』 「おいで」 『…ー…!!』 三度目の「おいで」は手じゃなくて腕を広げて待ってくれている。 近づいてジョット様の胸元に顔を擦り寄せると優しく包んでくれた。 本当はずっと望んでいた、あなたの温もり。 愛してる、そう囁かれれば泣きたくなるくらい嬉しい。 『……っ』 ボスでなくても、ジョット様は私の生きる理由。 だって、あなたを愛しているから。 新しく始まる私とあなた 私達の上には今日も広く青い大空! end 2008/12/31 |