私とスパナは所謂、幼なじみという関係。
スパナは昔から日本、それと機械、ロボットが大好きで興味が沸いたら、もう止まらない。

その性格は分かってた。
機械弄りをしたら没頭してキャンディーくらいしか口にしないし体調管理はグダグダ。

自分の立場なんて関係ない、興味が沸くことには一直線。
そんな彼を少しでもフォロー出来るように私は日本に着いて来たのに彼は自分の状況を本当に分かっていない。



『呼び出されたと思ったら…この状況はなに…?』

「……」



スパナの傍らを見ると疲れ果てて意識を失っている日本人がいた。
この子ってさっきまで戦ってた子でしょう!?
ボンゴレだよ!敵だよ!というかボンゴレ十代目じゃん!

私達はミルフィオーレファミリーなんだよ!?



「最後に使った技……未完成だ」

『…敵でしょ、その子』

「………」



ポソッと呟くけれどスパナには届かない。
この日本人が最後に放った未完成らしい技に夢中。
いつまでたっても妙な所で子供だから困ったもの。



『もうっ!入江様にばれたらどうするの!』

「お前が報告するのか?」

『……』



私の言葉を予想していなかったようでパチパチと驚いたように瞬きをするスパナ。
何だかんだ私はスパナに弱い、本当に弱い。



『すると思う?』

「思わないから呼んだ」

『だろうね。』

「だろ。…こいつ、早く起きないかな」

『はぁ…。どうして日本、日本の文化、機械関係にしか興味ないかな』

「クールだから。かっこいい。」

『…クール、ねぇ…』



ふと、机を見ると「酢花゜」という文字が書かれた紙が見えた。
見慣れない文字、きっと日本の漢字だ。
スパナ、漢字の練習もしてるんだ。



『ねぇ、何て読むの、これ』

「スパナ。ウチの名前を漢字にしてみた。」

『……』



私も漢字、そんなに詳しくはないけど「゜」ってひらがなやカタカナに使うんじゃなかったっけ。
漢字に使えるものなの?

まぁ、スパナがいいと思うならそれで、いいけど。



「なぁ」

『何?』

「あんた、さっきウチがジャッポーネと機械にしか興味ないとか言ったろ」

『違うの?』

「あんたにも興味あるんだけど」

『は…?』

「まぁ、それはいい。置いといて。」

『意味、分からないから!一体どういうー…』

「ん」

『え?』



どういう事よ!と言う前にスパナは一枚の紙を見せた。
「好き」と書いてあるけど私は読めない。

下手だけど書いてある文字は多分、日本の漢字と平仮名。



「これをやる」

『……?何これ、何て読むの?』

「調べろ。ウチはこいつが起きるの待つ。」

『え……』



目の前には「好き」と書かれた紙。
スパナは辞書とキャンディー、グリーンティーを用意してくれた。

ここにいて暇つぶしに調べろってこと?



『………』

「……」



仕方ないな。
この雰囲気は調べないと解放してくれなさそうだ。

諦めて私はキャンディーを食べながら辞書を開いた。












『こんな文字ないよ…』

「…ある。ちゃんと調べて」

『……あった!女子!?』

「………違う」



end



2008/04/16

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