「そういや名前チャンって彼氏いるの?」

『えっ?』

「いつも一緒にいるけど、こういう話をした事ないなーって。あ、ちなみに僕はフリーだよ」

「白蘭様、私情を挟むのはどうかと」

「えー、いいじゃん。今、仕事中じゃないしさ」

『二人ともケンカは止めてください!』

「やだな、ケンカなんてしてないよ。僕達、仲いいから。ねぇ、レオ君」

「えぇ、そうですね、好きなものも一緒のようですし」

『好きなもの?』

「はい」

「うん」



ニコニコニコと笑っている二人。
一見、友人同士に見える。
だけど、どうしても仲がいいようには見えない。



「さぁ、飯も食ったしそろそろ出ようか、これからどこ行く?」

『ご、ごちそう様でした…!って!本部に戻りましょう!仕事です!午後こそは仕事してください!』

「じゃあ、デートしてくれたら仕事するよ」

『え…っ!?』

「僕とデート、だめ?」

『なっ、何を言ってるんですか!……もう!私、先に戻ってますから!』

「あっ、名前チャン!」

「待ってください、名前さん!」

「ひどいなー、レオ君まで僕を置いて行かないでよ」



スタスタと歩いて中華店を出る。

び、びっくりした…!!
いきなりデートとか何を言ってるんだろう…!!
今日の白蘭様はスキンシップの域を超えてセクハラのように感じる。

白蘭様だからマシ、というか許せるけれどグロ様だったら確実に訴えてる。



『あー、もう!本気で転職しようかなー、……あっ!!』

「……っ」



イライラして前を見ていなかった私は人にぶつかってしまった。
ぶつけた鼻が痛いけどぶつかった人を見て反射的に謝る。

私がぶつかってしまった人は長身で黒髪の男性。
そのすぐ横には綺麗な茶色の髪をした男性がいてフォローを入れるように黒髪の男性に話しかけている。

一人は怖そうだけど、この人は優しそうでよかった…!!



『す、すみません!』

「………」

『あ、あの…、その…えっと……』

「雲雀さん、謝ってるからいいじゃないですか、怯えちゃってますよ」

「……別に怒ってないけどね」

『……っ』



じゃあ、その鋭い目つきは元からなんですか!?
うぅ、怖すぎるよ…!!

さっさとこの場を離れたい。
そう思った瞬間に後ろから聞き慣れない声が私の名前を呼ぶ。



『……?』

「雲雀恭弥、名前に手を出さないで頂けますか」

「…六道骸。君、どこから沸いたのさ」

『ど、どなたですか……!?』

「あぁ、名前……怯える瞳、そそります」

『は……!?』



怯えてません、不審がっているんですよ!

その人は私の手をぎゅっと握って見つめる。
赤と青のオッドアイで長髪を後ろで一つに結んでる男性。
赤めの方に「六」の文字が刻まれていた。



「骸、お前、何してんだよ」

「沢田綱吉、君こそボンゴレのボスがこんな所でうろついていいのですか?」

「いいんだよ、別に危険なんてないし。」

「ならば、いいのですが。さぁ、名前、こんな奴らと一緒にいないで戻りましょう」

『その、誰なんですか?人違いじゃ…』

「クフフ、分かりませんか?まぁ、当たり前でしょうね」

「その子、君のお気に入りって訳?」

「えぇ、そうですよ。でも、雲雀恭弥も沢田綱吉も興味ないでしょう?せっかくの二人の時間、邪魔しないで下さい。」

『ちょっ、な、なに…っや…っ』

「我慢してください」



私を後ろから抱き締めると二人をしっしっと手で払い遠ざけてる。
顔に似合わず子どもっぽい事をする六道骸を呼ばれる人。
何だか白蘭様みたい。
見かけは似てないけれど性質的に似てる気がする。



『は、離してください……っ』

「嫌です、いい香りがしますね、クフフ…」

『や…っ』



離して、嫌ですという、やり取りを繰り返す私達。
その様子を目の前の二人はジッと見つめていた。

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