プリンス ザ リッパー。
ちょっとばかり有名なヴァリアーの気まぐれ王子様は私の昔からの友達。
腐れ縁、つまりは幼なじみという関係だ。

昔はベルの双子の兄も一緒にいた。
だけど現在は幼なじみと呼べる間柄はベルだけ。

理由は分からないけどベルが実の双子の兄をその手で殺めた。
よく喧嘩していたけど、まさか本当に殺してしまうなんて。

もういない、そう聞かされた時は哀しかったけど同時にベルだけでも生きててくれてよかったと思った。

ベルは昔から近い存在、だけどベルの性格は未だによく掴めない。
単純な私は昔から振り回されてばかりだ。



「名前、早く茶。王子、喉が渇いたんだけど」

『はいはい、コーヒーでいい?あ…、マーモンは何がいい?』

「こんなチビにお前が気を遣うことねーし」

「む……」



マーモンを膝に乗せてクッション代わりに抱きしめてるベル。
抱きしめられているマーモンは苦しそうだけど、その光景は兄弟みたいで微笑ましい。

そんな二人をおいて私はキッチンへ行きお茶の用意を始めた。



「ねぇ、ベル、二人きりの方がいいんじゃないかい?」

「は?何、言ってんだよ」

「人の恋路を邪魔するほど趣味、悪くないし暇じゃないんだよ」

「恋路とか意味、分かんねーし。」

「そうは見えないけどね」

「……マーモン、名前に余計な事を言うなよ」

「だったら君が早く言えばいいじゃないか。恥ずかしいのかい?」

「恥ずかしい?んな訳ねーじゃん。」

「…ふぅん」

「なんだよ、その何か言いた気な態度」

「別に。」



私がお茶を用意してる間も仲良くしてる。
ベルは乱暴な口調だけど喧嘩じゃないよね?
ちゃんと会話は成立してるみたいだから心配しなくて大丈夫そうだ。



『用意、出来たわよ』

「ゲッ、もう来た」

『ゲッと何よ!お菓子あげないよ?はい、マーモンはどうぞ』

「このクッキー、名前が焼いたのかい?」

『えぇ、口に合うといいけど』

「むむ…」



小さな手で大きめのクッキーを手に取り頬張るマーモン。
もぐもぐと食べている様子がすごく可愛い。

普段、口を開けば報酬だの金だの金銭に絡む事ばかり言うから余計に子供らしさが際立って、きゅんとする。



『マーモン。はい、ミルク。』

「ありがと」

「一人で出来るだろ、マーモン。お前が世話を焼くことねぇって」

『いいじゃない。マーモン、可愛いんだもん……あっ、ところで、二人で何を話してたの?』

「む、ベルが君をー…」

「おい、こら、チビ。言った傍から余計な事を言おうとすんな」

『……?』

「何でもねーよ」

『…変なベル』

「早くしないと他から取られるよ」

「王子から横取りできる奴なんていねーから。」

「自信満々だね」

「当たり前。王子のライバルはもう大分前にバイバイしたしー」

『……?イマイチ話が見えないんだけど』

「お前の王子はオレだけだって話だよ」

『……へ?』



紅茶を入れていた私は予想外の言葉にベルに視線を移す。

今の聞き間違いじゃないよね?
私の王子がベルだけって、それって……?



『え?ちょっ、ど、どういう意味…!?』

「さぁ?どういう意味か考えてみろよ」



顔が赤くして慌てている私を見てベルは上機嫌。
マーモンはふぅとため息を吐いて私とベルを交互に見ていた。












「うしし、少しは意識しろっての」

『だ、だから!どういう意味なのっ!?』

「ご想像にお任せー」

「君達、そういう話は僕を抜きにしてよね」



end



2009/02/04

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