綺麗なイルミネーションで飾られ輝く町並み。
クリスマスイヴだからどこもかしこもキラキラしてる。
なのに、何で私は今日も任務なんだろうか。

時計を見れば0時ジャスト。
一人きりの虚しいイヴはターゲットの断末魔と共に終わり二十五日、クリスマスとなった。



『はぁ…。この仕事、やめようかしら?こんなんじゃ恋人、出来ないわよね…』

「えー、名前センパイ、辞めるんですかー」

『そう。来年こそは恋人を作ってクリスマスらしいクリスマスを過ごしたいのよ…って!フラン、いつの間に来たのよ…』

「ミーの方も終わったので報告に来たら虚しい独身女センパイが一人寂しく呟いてましたー」

『悪かったわね。どうせ独身よ。一人よ、クリスマスにこんな事してるわよ!というか独身って言う響き、私がすっごく年上みたいじゃない!』

「実際ミーより二つ年上じゃないですかー、というかプレゼント欲しいなら、この帽子をあげますー」

『……たった二歳差でしょ。そんな返り血付きのグロいカエル帽子なんていらないわよ。』

「チッ。」

『そんなにそのカエル、気に入らないの?』

「ダサいじゃないですかー、ベルセンパイチョイスってのが、さらに嫌ですー」



私にカエルの帽子を引き取ってもらおうと既に頭から取っていたフラン。

期待していた所、悪いけれど私はもちろん断る。
断るとむぅとした顔を見せるフランは可愛い。



『大体ね、私が一番、欲しいのは恋人だから』

「そんなに恋人が欲しいんですかー?」

『まぁ、人恋しい季節と言うか……フランは何かクリスマスに欲しいものある?』

「おぉ、聞くって事はくれるんですかー、ケチな先輩がー」

『あんた、一言、多いわよ』



プレゼントの言葉に反応するフラン。
ずっと一緒に任務をしてきたパートナーだけど、こんな表情は初めて。
ヴァリアーで頑張ってるし、ご褒美に何かあげようかしら。



『いいわよ。可愛い後輩にクリスマスプレゼントあげる』

「それじゃー、センパイが欲しいですー」

『はいはい…って、何?』

「だからー、センパイが欲しいって言ってるんですけどー」



センパイが欲しいって、どういうこと?
ヴァリアーメンバーにまともな先輩がいないから普通の先輩が欲しいって事かしら?



『まともな先輩が欲しいってこと?やだなー、フラン。美人で優秀で頼りになる先輩なら既に目の前にいるじゃない?』

「そういう意味じゃないんですけどー、アホで鈍感でドジで情けない名前センパイー」

『……じゃあ、どういう意味よ、フラン』

「こういう意味のつもりなんですけどー」

『……っ!?』



フランは私に近づいて背伸びすると、唇を重ねた。
冷えていたけれどフランの唇は暖かい。

そこから熱が広がるように頬まで熱くなった。



『……っ!?』

「ミーも恋人が欲しいみたいですー」



ダメですかー?と至近距離で首を傾げて微笑む。
にこりと笑うフランは可愛い後輩の男の子ではなく、男性だという事を私に意識させた。












朝になったら、デートしようか?



end



2009/01/02

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