四月、ボンゴレ学園に入学。
ボンゴレ学園とは未来のボンゴレファミリーのために優秀な人材を育成するのが目的であるマフィアの専門学校。

私が目指すのはボンゴレ十代目の右腕!

そんな夢を持つ私の耳に十代目もボンゴレ学園に入学したという噂が入った。

これはチャンス!
何とかしてお近づきになりたい…!

休み時間に十代目のクラスを覗きに行ってみようかな?

…と思ってたのに、入学早々、私のクラスはとんでもない事になっていて、それどころじゃありません。



「退け、ベルフェゴール」

「…って!押すんじゃねーよ、レヴィ。殺られてぇの?」

「ベル、貴様がボスの隣を歩くなど百年、早い!」

「廊下で騒ぐんじゃねぇ!」

「仕方ねぇじゃん、だったら何とかしろよ、カスクアーロ」

「う゛ぉ゛ぉい!スクアーロだぁ!!カは余計だぁ!!」

「わざとに決まってんだろ、バーカ」

「な…っ」

「うるせぇ、カス。」

「…クッ!!」

「まったく、こうも煩いと嫌になるよ。」

「そう言うなって、マーモン」

『……』



うぅ、怖いよ…!!
さっきから廊下で喧嘩してる集団はなんなの…っ!?
多分、先輩だと思うけど怖くて仕方がない。

自由時間なのに皆が顔を青くして静かに席に座っているのは、あの人達のせいだよ…!!



『あの赤ちゃんも先輩なのかな…』

「……マーモンって名前らしいですよー」

『へ…?』

「一応、あれでもセンパイみたいですー」

『そ、そうなんだ…』



話しかけてきたのは隣の席の男の子。
大きなカエルの帽子を被っている。

扉の所にいる集団をよく知っているようで淡々と愚痴を零し始めた。

うざいんですよねーとかボスって本当に強いんですかねーとか。

ねぇ!声が大きくない!?と思った時にはもう遅い。
先輩方がこちらを見ていた。



「ししっ、可愛くないコウハイ発見ー」

「わー、その前が見えてんだか分かんない髪型で見えてるんですかー、わざわざ様子を見に来るなんて暇ですねー」

「王子のナイフを味わってみるか」

「いやですー」

『えっ!?やだっ、私を盾にしないでよっ!』

「お前、何?王子に刃向かう気?」

『そんな!とんでもない!…です!』

「さっき"何、自分で王子って言ってんの?変な人ー"って言ってましたー」

『言ってないわよ!何なのよ、君!』

「君じゃなくてフランって言いますー」

「う゛ぉ゛ぉい!この女は何だぁ」

「あ、ヴァリアー志望らしいですー、どうですかー、ボスー」

「……」

「へぇー、お前、ヴァリアーに入りたいの?」

『え…!?ヴァ、ヴァリアー…!?』

「話が逸れてよかったですー、ベルセンパイ、単純で助かりましたー」



話が逸れてよかったじゃないよ、フラン!
…いや、この毒舌カエル野郎!

あぁ、そういえばヴァリアーって聞いたことあるよ…!!
ボンゴレファミリー独立暗殺部隊、だったっけ?

ボスが暴君で手がつけられないって聞いたな。



「……」

『……っ』



この一番、怖い黒髪の人が間違いなくボスだろうね…!!

私はボンゴレ十代目の下につきたいから丁重にお断りしなきゃ…!



『フラン!私はボンゴレ十ー…』

「ボスの前で十代目は禁句ですよー」

『は?』

「沢田綱吉の名前を出すと機嫌が悪くなるんですー」

『……』

「と、言っても害があるのはスクアーロ隊長がほとんどですけどー」

『そ、そう…』

「ですがミーは今のうち逃げますー」

『なーっ!』



フランはぴょーんと蛙の如く窓からジャンプして逃げ出した。

私を先輩達の中に置いて行くなんて酷い…!!

そう思った私は拳を握り締めて窓から飛び出してフランを追いかけた。



『待ちなさい…!!』

「ゲ…ッ、何で追いかけてくるんですかー」

『あんたがあのメンバーの中に置いてくからでしょう!息も出来ないわよ!』

「そんなに繊細なんですかー?」

『……っそれに!ヴァリアーに入る訳ないでしょう!』

「というか、入れないんじゃないですかー?……能力的に。」

『あんた、本当、ムカつく…!!これだって少しは戦えるんだから!』

「…って言っても授業以外のバトルは停学、下手すれば退学かもですよー」

『う…っ』



停学の言葉が頭に過ぎり懐に忍ばせてる武器をしまう。

どこまで逃げるつもりなのか。
走り続けるフランを必死に追いかけるけど裏山に入ったところで見失ってしまった。

裏山は主に戦闘訓練をする場所だけど今日は誰もいなくて気味が悪い。

そこらに飛んでいる鳥の声も森の中だと不気味に聞こえる。



『フラン……』



フランの名を呼んでみるけど反応はない。
もしかして私を撒いて先に戻ったとか?

…だったら私も戻ろうかな。

どうせ、同じクラスで隣の席。
嫌でも明日には顔を合わせるんだから文句は明日、言おう。

あっ、でも、ヴァリアーの先輩達、まだ教室にいるのかな?



「ワォ、ここで何をしているんだい」

『……!!』

「見ない顔だね、新入生かい」

『あ、はい……』

「まだ学校にいないといけない時間だけど?」

『……っ』

「…サボったんだね。入学早々、いい度胸してるじゃない」



突如、現れた黒髪で学ランを羽織っている先輩らしき人を見つめているとトンファーをサッと構え攻撃体勢に入った。

ヴァリアーの先輩達とはまた違った鋭い瞳。
ピリピリとした殺気で身体が動かない。

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