『だーかーらー!ごめん!本っ当にごめん!!』

「最悪ー、王子の…つーか、彼氏の誕生日を知らないとかありえねぇ」

『だ、だって…!!そういう話をした事ないし…っ!!あ!じゃあ、ベルは私の誕生日を知ってるの!?』

「当たり前だろ」

『嘘だー、私、話した覚えないよ』



疑うと、ししっと笑ってベルは私の誕生日を即答した。

何で知ってるの!?私、教えたことないのに!

あぁもう!知ってて当然みたいにニヤリと笑ってるベルが憎たらしい!



「しかも今日、名前は任務とか何?王子はオフなのに」

『そ、それは…っ』

「あームカつくー、女いんのに一人寂しく引きこもりとかないし」

『とか言ってプレゼントをたくさん貰って満更でもないくせに』

「名前、何か言ったー?」

『……!!いやいや、何でもないよ!』



聞こえないように小さく呟いた私の言葉はしっかり耳に届いたらしくナイフで頬を叩かれる。

金属性だから冷たいだけで、もちろん痛くはないけど至近距離で見つめられて気まずい。



『い、今からプレゼントを買ってくる!何か欲しいものある!?』

「いらねー」

『えっ』

「プレゼントはいらない。部屋がこれ以上、ごちゃごちゃすんの勘弁。」

『そりゃ、これだけあればね…』

「つーか、名前の欲しいもんあるなら持ってけば?特別に許してやる」

『……』



ベルはプレゼントを適当に私の腕の中に積み上げていく。

プレゼントはいらないって、それじゃあ、どうすれば機嫌が直るのよー!!

気まぐれで自分勝手なベルのことだから、明日には機嫌が直ってそうだけど、誕生日と聞いたからには彼女として何かプレゼントしたい。

一年に一度しかない誕生日なんだから。

でも、ベルが欲しいものなんて思いつかない。

あっ、この際、私をプレゼントとか?
いやいや、そんなの、だめでしょ!何を言ってるの、私!

うーん、本当にどうしよう。
ベルの欲しいものって思い付かないよ…っ!!



「変な顔ー」

『うぅ…』

「別にいい。最初から名前に期待してなかったし」

『…っだったら何でそんなに怒るのよ!』

「期待してなくても普通は怒るだろ」

『…ご、ごめん、なさい』

「もう聞き飽きたんだけど、ごめんの他に言う事ねーの?」

『……誕生日、おめでとう』

「ししっ、いー子。」



私がそう言うと、いつものように笑って乱暴だけれど頭を撫でてくれた。

私を撫でた後、ベルは山のように積み上げられてるプレゼントの方に歩いて行く。

手招きしてるから近寄ると笑みを浮かべていた。



『……、何…?』

「名前、今年のプレゼントはいらねぇから来年はちゃんとよこせよ。今年のどのプレゼントより最高のやつ」

『え……、このプレゼントよりも…!?』

「そう。だって王子の誕生日だぜ?しかも二年分」

『……任務して頑張って稼がなきゃ。というか欲しいもの、何かあるなら教えてよ?ちゃんとプレゼントするから。』

「へぇ、何でもいいのかよ?」

『い、いいよ、もちろん!何でも!』

「んじゃ、予約するぜ」

『予約…!?手に入りにくいの…!?』

「あぁ、世界に一つ。」

『はぁ!?』

「そりゃ王子が欲しいもんだし」

『……!!』



世界で一つ…!?
あぁ、一体、0が何個、付いてるものなんだろ…!!

まさか特注のティアラ?王冠?それとも城…!?

任務だけでお金、貯まるかな…。

来年のベルの誕生日にマーモンにお金を借りる事にならないといいけど。



「ししっ、どうしたー?」

『いや、予約してまで欲しいのものって何かなぁと思って』

「これ」

『はい?』

「だから、これ」

『私の手?』

「手って言うか指」

『き、切るの!?いくら何でもそんなの嫌なんだけど…!!やっぱりベル、怒ってるでしょ!?』

「バーカ。オレだっていらねーよ、んなの」

『じゃ、どういう意味よ…』



何が言いたいのか分からない私の手を引いてプレゼントの前へ誘導する。

ベルは何を思ったのかプレゼントの赤いリボンを解いて私の左手の薬指を結んだ。



『……?』

「まだ分かんねーの?」

『何で指にリボンを結ぶの?』

「これで予約完了ー」

『だから何の』

「姫の予約」

『姫?』

「そ、姫♪」

『へ……』

「十八歳の誕生日にはちゃんとよこせよ」

『え?…えぇ!?』

「拒否権なしだぜ。もう予約したんだからな、名前を」

『……!!』

「文句あんの?」

『……っキャンセルも、返品もなし…だからね?』

「うしし、んなの、する訳ねーだろ。」



これはベルなりのプロポーズ?
満足そうな笑顔を見せられたら断れない。



『……っ』



大好きなベルだから私はこう言うしかないじゃない!












end



2008/12/09

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