漫画とかドラマでよくあるじゃない? かっこいい男の子二人から同時に口説かれるヒロインの女の子。 そういうシーンを見て人生一度くらいはかっこいい男の子に口説かれてみたい!なんて思ってた。 確かに思ってたけど、現実になると困るんですよ!! こんな状況は妄想するだけで十分! やっぱり、人生は平凡が一番だ! 「クフフ、今日も可愛いですね、名前…」 「当たり前のように僕の並盛に来ないでよ、六道骸」 『そして当たり前のように私の肩に手を回さないでくださいっ、雲雀さんっ!』 「そうですよ、こちらに来なさい、名前」 『ちょっ、どこ触ってるんですかっ』 「腰です。クフフ、細いですねぇ…」 「やらしい目で名前を見ないでよ」 「見てませんよ。やらしい目で狙っているのは君ではないですか?」 『ふ、二人とも喧嘩はやめてください!』 いつもこんな感じのやり取りが続いてバトルが始まっちゃう。 本格的なバトルが始まったら私にはどうしようも出来ない。 だから喧嘩が始まる前に二人の間に入って口喧嘩を止める。 「…君がそう言うなら止めておくよ」 「名前を危ないことに巻き込ませたくないですからねぇ」 『……』 私が間に入ったらぴたりと喧嘩を止めてくれた。 骸さんも雲雀さんも私のどこに惹かれるんだろう? 言う事、為す事、危険極まりないけど、やたら顔がいい、この二人の真ん中に挟まれる日が来るとは思わなかった…!! 『骸さんも雲雀さんもお願いですからついて来ないで下さい!私、もう帰るんですから!』 「………」 「……」 出来る限りキッと睨む。 だけど、そんなのは二人にとっては、どうって事がないようで怯むことはない。 雲雀さんはいつもの表情で私を見つめる。 骸さんはにっこりと笑って、懲りずに手を握ってきた。 「名前、雲雀恭弥なんて放っておいて僕と一緒に帰りましょうか」 「ちょっと、勝手に名前を連れて行かないでよ」 「勝手ではないですよ、名前は帰ると言っているんですから」 私、帰るとは言ったけど骸さんと帰るなんて一言も言ってないんですけどーっ!! 「君と帰るだなんて名前は一言も言ってないよ。妄想は頭に留めておきなよ」 「……」 『……!』 雲雀さんが珍しく正しいことを言ってくれた!! ちょっと見直しちゃったよ! いつも意味が分からないって思ってたけど、話はちゃんと聞いてくれてるんだ! 「名前は僕の仕事を手伝うんだから」 『え……』 そんなこと一言も言ってなぁぁぁい!! もう、だめだ、この人たち!! 私の話を聞いてないというか、きっとちゃんと聞いてくれていたとしても根本的に話が噛み合わない。 話を噛み合わす気がない…!! 「クフフ、名前、仕事なんてつまらない事よりも僕と楽しい事をしましょう?」 『しませんから!』 「仕事をしないとお仕置きだよ」 『そもそも私、風紀委員じゃありません!!』 「僕が決めたんだから、風紀委員だよ」 『なっ、なんですか、それ!!』 「おやおや、雲雀恭弥、名前を困らせてはいけませんよ。さぁ、もう行きましょうか、名前」 『は、はい…!?』 私の手を掴んで歩き出す骸さん。 手を掴まれているから歩くしか選択肢はない。 後ろを見ると雲雀さんがトンファーを出していてドス黒いオーラを放っている。 「六道骸、咬み殺す…!!」 『ひ…!!ちょっ、骸さん!止まってください!雲雀さんが…!!』 「おやおや、短気ですね。今日はこのまま逃げてしまいましょう」 『へ……?』 「君は雲雀恭弥に渡しません」 骸さんは私に優しく微笑みかけると抱き上げた。 所謂、お姫様だっこ。 通学路でお姫様抱っこだなんて恥ずかしすぎる…!! 「六道骸、名前を返しなよ…!!」 「クハハ、返すも何も元から僕のものですよ…!!」 『誰のものでもありませんからーッ!!骸さん、下ろしてくださいっ!!』 「嫌ですよ、下ろす訳ないじゃないですか。このまま僕のアジトに行って…、クフフ……」 『ちょっ、何ですか、アジトに行って何なんですかーっ!!』 「公共の場でそんな事、言えません」 『何を考えてるんですか!骸さんのばかーっ!!』 って、暢気に話してる場合じゃない! 後ろの雲雀さんは怖いって言うレベルを遥かに超えてる。 もう、何て言うか骸さんを咬み殺したくて仕方ないみたいな…!! 『……っ』 好きって言ってくれるのは嬉しい。 それに私も年頃だもん。彼氏が欲しいって思う。 でも、それは、もちろん普通の彼氏! 並盛の校歌にだってあるじゃん!大なく小なく並がいいって! 私は何もかも平々凡々並でいいんですってば! 『…ー…っ』 だからお願い!!骸さん、雲雀さん! 私を交えてバトルをしないでください…!! 私を家に返してくださいーっ!! 追いかけっこはいつまで続く? 「クハハ、雲雀恭弥…!!そんな攻撃が当たるとでも…!?」 「煩いな、名前に当たったら嫌だから加減してるんだよ。」 「ほぅ、そうでしたか、失礼しました。てっきり、それが実力なのかと思ってましたよ」 「……まぁ、傷物になったら僕が責任を取るから多少は本気を出してもいいかな」 「あぁ、その手がありましたね。」 『二人とも物騒な事を言わないでください!!』 end 加筆修正 2009/05/15 |