口を開けば「めんどい」という千種。
そんな人が彼氏だと甘い雰囲気にもならない。

でも、大好きなの。
二人でいることがすごく落ち着くの。

だから、千種からの「好き」という素っ気無い告白を受け入れてる自分がいた。
最初は「何が好きなの?」なんて思ってしまったけど、告白だと気づいたら、とても嬉しかった。



「……」

『………』



素っ気無いなりに千種は伝えてくれたのに、私は伝えた事がない。
だって、傍にいるのが空気みたいに当たり前だから言葉なんていらないんじゃないの?と考えてしまう。

だけど時々、ちゃんと言葉にしたいって思う。
付き合ってから千種を見る目が変わったからかな?

ふとした仕草がかっこいいなって思ったり、そっと微笑んでくれる瞬間、胸の奥がきゅんとする。

そういう時、無性に伝えたくなるの。

大好きだよって。



『………』

「名前、さっきから何……?」

『……』



じっと見つめていたら千種は観念したように、ため息を吐いて私を見る。

あーあ。
じーっと見つめたら好きって伝わればいいのに。

骸様あたりなら見つめたら「クフフ、僕の事が好きなんですね」とか勘違いして迫ってきそうなのに。

いや、むしろボスの権限を振りかざして襲ってきそうなのにね。

でも、千種じゃだめだ。全然だめ。

じっと見つめても千種には少しも伝わらない。



「……」

『めんどいんでしょ?別に話さなくていいよ』

「そんなに見つめられると落ち着かないし…」

『………』

「……お腹でも減った?」

『そうじゃなくて…』

「…じゃあ、何?一度で済ませて。めんどい…」

『………』

「………?」

『……、…だいすき』

「え………」

『一度、ちゃんと言いたかったの!それだけ!』

「………」

『……千種?』

「え…、あ……」



私の言葉がよほど予想外だったのか、千種は驚いているようだった。
驚いた顔も珍しいけれど、ほんのりと染まった頬を見るのは初めて。

まじまじ見つめていたら眼鏡をくいっと指先で上げて視線を逸らしていた。



「……っ」












『顔が赤いよ、千種』

「別に…そんな事、ない…」

『千種って可愛いね!』

「……可愛くない」

『可愛いよ!』

「…そんなことを言われても嬉しくない」

『……大好き、千種』

「……ッ」

『また顔が赤くなった!』

「……からかわないで。」

『からかってないもん!』



end



2009/01/08

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