エストラーネオファミリーが壊滅した日。
あの日から私の全ては骸様になった。

いつもいつも優しい骸様。
愛してるって言ってくれる声、包んでくれる香り。
微笑まれて、見つめられると私は恥ずかしくって俯くばかり。

好きの一言もドキドキが邪魔をして言えない私を何で傍に置いてくれるのだろう。
どうして、好きになってくれたんだろう。



『……』



好きと伝えてくれた時、とっても嬉しかった。
骸様のことがもっと好きになった。

だから、今日こそは私も骸様にちゃんと伝えたい。

勇気を出して、伝えるから。
好き、って気持ちを少しでも、感じてくれたら嬉しい。



『骸様…』

「名前、どうしたのですか?」

『えっと、その…』

「……?」

『……っ』



やっぱり、だめ。
骸様の綺麗なオッドアイに見つめられると、鼓動が早くなって言葉が出てこなくなっちゃう。

骸様を目の前にしたら何も言葉に出来ず、その場にただ立っている私。
ソファーに座っていた骸様はくすっと笑みを零して私を手招いた。

赤い顔のまま近づくと膝の上に導かれて、そのまま腕の中に閉じ込められてしまった。



『む、骸様…!?』

「クフフ、君があまりに可愛いものですから、つい」

『…ー…っ!?』

「おや?僕にこうされるのは嫌ですか?」

『あ…っ、む、骸様…!?』

「…静かしなさい、落ち着いて」

『……っ』

「先程から落ち着きがないですね。何かありましたか?」



骸様は私の様子が変だと思っていたようで、落ち着かせるように背中をぽんぽんと軽く叩く。
抱きしめられるのは初めてではないのに直に感じる体温と香りにまたドキドキしてしまう。

こんな事をされたら、余計に言葉が出てこなくなっちゃう。

骸様の胸にそっと手を当てて距離を作る。
顔が火照って熱い。

控えめに骸様を見つめると、彼はまた小さく微笑み唇を重ねた。



『……っ』

「……」



唇が離れると、刺激が強かったですかね?なんて骸様はまた笑った。
そんな彼を見つめると、これ以上にないって程、顔が熱くなる。

同時に胸がきゅんと高鳴ってくすぐったい。



「名前。好きですよ…」

『骸、さま……』

「どうしましたか」

『骸様、その…っ』

「……?」

『わっ、私、も……す…、好き、です…』

「名前…」

『大好き、です…骸様…』



思い切って伝えた気持ち。
恥ずかしくて目じりに涙が浮かぶけれど、真っ直ぐ見つめて伝えたら骸様は驚いた顔で私を見ている。

あ、あれ?
私、タイミングを外しちゃった…?

心配になっていると骸様はとても優しい顔をして微笑んだ。
そして、もう一度、唇にキスを落として骸様は私の首筋に顔を埋めた。



「ありがとうございます、名前」

『………!』

「嬉しいです、とても…」



骸様の顔は見えない。
だけど、抱きしめてくれるぬくもりは、とても優しくて温かい。

そっと抱きしめ返したら、穏やかな二人の未来が見えた気がした。












「ずっと僕の傍にいなさい」

『…はい!骸様が望むなら喜んで!』



end



2009/01/08

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