ケーキを食べ終わった後、私は犬君のお皿を下げに行くと綺麗に食べていた。



『なんだ。文句を言いつつ全部、食べてるじゃない』

「……丁度、腹が減ってただけだっつーの」

『はいはい』

「……今度は甘いもんじゃないのにしろよ」

『……ふふっ、了解!』



"今度は"だって。
前はあんなに帰れ帰れ言ってたのにね。

これは少しは仲良くなれたって思ってもいいかな?

どうも自分は単純なようで些細な事で機嫌が良くなり鼻歌まじりで、お皿を洗う。

私が洗った食器はクロームにバトンタッチ。
クロームは受け取ったお皿をごしごしと拭いてくれるから、スムーズに片づけが終わった。



『犬君、ちゃんと食べてくれてよかった!』

「うん……」

『ねぇ、今度は差し入れ何がいい?』

「……」

『……?クローム、どうしたの?』

「あっ!えっと、その…名前…」

『そんな顔してないで言って?』



さっきまでは笑っていたのに急にしゅんとした表情を見せるクローム。

クロームの言葉を待っていると顔を赤くして、たどたどしく話を切り出した。



「えっと…」

『ん?』

「犬も骸様も、千種も…気に入ってるみたいだから…、その……」

『気に入ってるって…?』

「名前の事…、だから…」

『だから?』

「名前に恋人が出来たら寂しいな、って…」

『え…っ!?』

「ご、ごめん…、いきなり、こんな事を言って…、ただ…」



私の方が少し背が高いためクロームは自然と上目遣いになる。

大きな潤んだ瞳に赤い頬にきゅんとしていると、紫色の髪が風でふわりと揺れた。

あぁ、もう!可愛すぎる!!

こんな可愛い幼馴染がいたら私、今は彼氏なんていらないって思っちゃうんですが!

本気で恋より友情だよ!!



『やだなぁ!もう!私、今は彼氏なんて作らないよ!クロームといる方が楽しいもん!』

「……!」

『千種君や犬君、骸さん…って呼んでもいいのかな?とにかく彼らが私を恋愛対象に見る訳ないじゃない!』

「そうかな…?」

『そうそう!ありえないよーっ』

「……」

「……、……」



にっこり笑って言えばクロームは花が咲いたみたいに明るい表情になった。

クロームの笑顔って大好き!

薔薇のように華やかではないけれど、すみれのように控えめで可愛らしい。

クロームは妹みたいで放っておけない大切な親友。
それは何があっても変わらない。



これからも、ずっとね!!












「…髑髏の奴、オレ達に聞こえるようにわざと言ってねぇ?」

「……そうかもね」

「ちっくしょー」

「…名前の事、好きなの?」

「ばっ!す、好きなんかじゃねーびょん!!」



end



2008/01/08

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