時刻は午前二時。
クロームも骸様も、犬も千種もさすがに眠っただろう。
そろそろサンタ作戦を開始しようっと!

私も眠くて仕方ないけど犬が用意したサンタ服を着て静かに部屋を出た。



『うわ…、真っ暗……、それに廊下、寒い…』



懐中電灯をつけ、なるべく音をたてないように歩く。
クローム、千種、犬の順番でプレゼントを置いていった。

みんな、すやすや眠っていたから気づかれなかったけど問題は骸様。

よく考えれば眠っていたとしても、あの骸様が簡単に誰かを近付けさせる訳がない。
いくら黒曜センターで安全だから無防備に休んでいるように見えても気配には敏感なはずだ。



『…気づかれるよね、絶対』



暗闇で近くに寄ったら刺客と間違われて武器を突き付けられたらどうしよう…!!
いきなり攻撃はされないだろうけど、せっかくのサンタ作戦がばれて台なしになっちゃう!



『……その時は普通に渡しちゃおう』



犬は一応、骸様へのサプライズを楽しみにしてるから明日の朝は話を合わせてもらおう…!!

よし、いざ!骸様のお部屋へ!



『……』



ドキドキドキドキ。
部屋の前に来て心臓の音は今までにないくらい高鳴ってる。
周りに聞こえてるんじゃないかってくらいだ。



『……っ(失礼しまー…す…)』



心の中で一礼。
ごくりと喉を鳴らしてドアを開ける。

骸様は普段、大きなソファーをベッド代わりにして休んでいるから近くにあるテーブルに置けば私の任務は完了。
息を殺して、静かに歩いてソファーへと近寄る。



『……(あれ?)』



拍子抜けとは、まさにこの事。
ソファーを見ると骸様の姿はなかった。

何で!?どうして!?
もしかして部屋の前にいた時に感づかれた!?
どこかで私の様子を窺っている!?



『あ、でも…』



周りに気配はない。
それにソファーに触れると冷えきっていて骸様は大分、前からいなかった事が分かった。



『骸様、どこに行っちゃったんだろう……』



何か悪いことが起きたんじゃないかって不安になる。
骸様は私達に大事な事を教えてくれない。
いつもいつも自分を犠牲にして私達に救いをくれた。



『骸様…』



私達がそれぞれ用意した骸様へのプレゼントをテーブルに置いて、ソファーの上に縮こまって体育座り。

もうかなり遅い時間。
もしかして今日はもう帰って来ないのかな…。
いつからいなくなっていたんだろう…。



『……』



もしかして、私の部屋に来た後すぐ…?
私の顔を見に来たって言っていたことが気になってしまう。

まるで、私達に内緒にして危険な場所に行くような、そんな雰囲気だった。



『……骸様』



呟いても、声は返ってこない。
真っ暗で寒い部屋に一人ぼっち。

顔を埋めて私は骸様を待っていた。

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