ツナくん、山本くん、獄寺くんや京子、花、ハルちゃんと過ごす夏はとても楽しかった。

フゥ太くんやランボくん、イーピンちゃん、ビアンキさんとも仲良くなって、前よりももっと賑やかで毎日が楽しい。

ツナくんとはまだ、ぎくしゃくしていたけれどあっという間に時が過ぎた夏休みは、その距離を少しずつ埋めてくれたと思う。



『……』



友達と遊んで笑って過ごす日常。

みんなにとってはこれが「普通」なのかもしれない。
だけど、私にとっては一秒だって大切にしたい、ずっと望んでいた日々なの。








夜のしじま



並盛のマンション、最上階の一室が私の部屋。
眠れなくてベッドに身体を預けながら窓の外を見る。

カーテンの隙間から見える月は暗い部屋を優しく照らしていた。

その優しい光は私にとっては少し眩しい。



『………』



毎日、穏やかで楽しい日々。
テストや苦手な授業はほんの少しだけ嫌だけど学校も楽しい。

少し前の日々が嘘のように平和そのもの。

私はもう、過去の出来事としているけれど、クラスのみんなはどこか気まずそうにしている。
だけど、山本くんや獄寺くん、京子、花が普通に接してくれるから教室も居心地が悪くない。



『……』



今もまだ私宛てに花が届く。
差出人は分からないけれど、きっとあの子から。

元気にしてるかな?
少しでも笑っていてくれているかな?



『………』



ふと月を見ていたら、無意識に溜め息が零れた。

幸せで楽しい、安らいでいる。
でも、幸せだと感じるほど不安が生まれる。

あの人達は今、どうしているだろう?
私はこんな風に生活をしていていいのかな?



『……』



ツナくん達と一緒にいるのに時々、無性に寂しく感じる。
そう思うのは私がわがままなの、かな。

最後に会ったのはいつだっただろう。



『会いたい、な…』



あの人のことを想ったら、どこか遠くで私の名前を呼ぶ声が聞こえた。

哀しそうな寂しそうな、あの人の声。
不思議に思って部屋を見渡すとカーテンがふわりと揺れた。



『風……?』



気のせいかな?
でも、はっきりと声が耳に残ってる。



『……何だろう』



妙な胸騒ぎがする。



『気のせい、だよね?』



ここには私、一人きり。
誰かがいるならすぐに分かるもん。



『……』



重たくなってきた瞼をそっと閉じる。

遠い場所で起こった出来事を私は知るはずもなく眠りについた。



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加筆修正
2011/11/21


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