気がついたらオレは羽依を抱きしめていた。 「あ゛ぁ……」 『……?』 「なーッ!?」 『わ……っ!?』 オレは一体、何してんだっ!? 寝起きでぼやけた目で見つめると、羽依は首を傾げてる。 我に返ったオレは慌てて身体を引き離した。 「な、何してんだ…っ」 「や、獄寺。何してんだってオレが言ってんだけど」 「な、なに、何って、な、なんだよ…っ?」 「今、オレが聞いてんのな」 「ちょっと待った!オレは別に何もしてねぇぞ!な…?羽依!」 『え…?あ、うん…!教室に戻ったら起きてたんだよ、獄寺くん…』 「で、さっきのは?」 『えっと、よく分からないけど…、抱き締められて…それで…』 「へぇ…」 野球馬鹿の表情が暗い。 今にも投球しようという顔でオレを見ている。 そんな顔で見られてもオレだってよく分かんねぇんだよ!野球馬鹿!! 大体、何で授業が終わってんだ! 羽依に構ってる暇なんてオレにはねぇ!十代目はどこにいらっしゃるんだ…!! 「……」 「き、気がついたら、こうなってたんだから仕方ねぇだろ…!!」 「…要するに」 「……な、んだよ」 「獄寺が寝ぼけて、羽依に抱きついたって事でいいんだよな?」 「だ、誰が寝ぼけたって、こんなボケ女を抱ー…」 「な?」 「………悪かった、羽依」 『あ…ううん、大、丈夫…だよ……(骸みたいで)嬉しかった、し……』 「はぁっ!?」 「な……っ!?」 その後、ことごとく野球馬鹿に邪魔をされて羽依と二人きりになる時間がなくなった。 これはこれで何故かムカついて山本と喧嘩しては羽依を困らせてる。 「……」 そして、問題はそれ一つじゃねぇ。 「十代目、ご相談が…」 「ん?どうしたの、獄寺君」 「……最近、記憶が飛ぶんスよ」 「え…っ!?だ、大丈夫なの!?大変な病気だったり…っ」 「病気っつーか…気がついたら羽依と二人きりでいるんです…」 「……?」 「山本を上手く撒いてるのか必ず二人きりなんスよ!これは何なんでしょう…!!夢遊病とかそういう奴っスかね!?」 「……まさか」 「まさか…?あ…!!まさかオレに悪霊が取り付いてるんでしょうか…!!」 「い、いや、そのー…(言わない方が、いいよね。害はないだろうし)」 「……?」 end |