夕焼けが綺麗な、下校時間。 名前は制服で、電柱の影に隠れていた。 傍から見れば不審者である。 そんな彼女の目線の先には……。 「ちょっと、待って下さいよ恭弥君!!」 「何で君を待たないといけないの?」 「話があると、何度も言ってるじゃないですか!!」 そう、他校の生徒である。 最近名前の学校でカッコイイとの噂を聞いて、一度見てみようと思ったのだ。 唯、学ランを着ていると聞いていただけなので、どっちが噂の人なのか、全く判らない。 名前にはどっちもカッコイイとしか思えなかった。 「ほら、近くの喫茶店に入って話しましょ!奢りますから!!」 「別に良い。飲みたくないし、話す事も無い」 「君には無くても、僕にはあるんです!!」 どうやら、二人は仲が悪いらしい。 恭弥と呼ばれている方は、凄く嫌がった顔をしている。 深めの緑の学ランを着ている方は、どうしても誘いたいのか、必死だ。 名前は軽く笑いながら、二人を見ていた。 「……ぐすん。もう良いです、今日は諦めます。又来ますからね!!」 「もう一生来なくても良いよ」 「わ……!!」 とうとう諦めた緑の学ラン少年―――骸が軽く涙ぐみながら、其の場を去ろうとする。 向かってくる場所は、名前が居る電柱近く。 小さく声を上げて、名前は見付からない様に、と逃亡を図ろうとした。 だが、余所見をしていたからか、誤って骸にぶつかってしまった。 尻餅を付いた名前は、顔を歪めて痛みに耐えようとした。 「痛ー……」 「あ、済みません!大丈夫ですか?」 「いえ……こっちも余所見してま……」 名前が顔を上げて骸を見ると、彼はニコリと笑って名前に手を差し出していた。 どうやら此れで起きろ、と言いたいらしい。 顔を赤くしながら、名前は彼の手を取り、起き上がった。 「あ、有り難う、御座います……」 「いえ。怪我とか、無いですか?」 「ぜ、全然!!大丈夫です!!」 「なら良かったです。じゃあ、此れで」 「あ、あのっ!!」 骸が立ち去ろうとした瞬間、名前は思わず声を上げて彼を止める。 移動しようとしていた骸は呼び止められて、思わず驚いた顔をする。 思わず引き止めてしまった名前は何を言おうかと悩んでから、一言。 「……な、名前……教えてもらっても、良いですか?」 あなたを覚えてしまった (きっと此れは、恋の予感) お題配布元:確かに恋だった 080803 |