「あ、居た居た。獄寺君!」
「あ?何だよ、」
「クッキー作ったの。ね、食べて?」
「クッキーだぁ?」



が嬉しそうに取り出したのは、手作りのクッキー。
バレンタインデー時に貰えそうな袋の中に入っている。
獄寺はしかめっ面をしながら、とクッキーを交互に見た。



「……何でクッキーだぁ?」
「一時間で作れるし、簡単だから」
「………………」



は食えと言わんばかりに、獄寺にクッキーを差し出す。
多分、今食べなければ、殺されるかもしれない。
自分の身の危険を感じた獄寺は、黙って受け取る事にした。



「さ、サンキューな」
「うん!ね、今食べて?」
「な、何で!?」
「口に合うかどうか判らないし。あ、味見はしたよ」
「………………」



嫌がるのも面倒になった獄寺は、袋を開いてクッキーを取り出す。
ハートの形をしたのを、一口含ませる。
獄寺は眉を潜ませながら、の顔を見た。



「……此れ、甘くね?」
「そう?クッキーって甘い物でしょ?」
「いや、此れは甘過ぎる」
「えー」
「こんなのと紅茶を一緒にしたら、爆発起きるぞ」



獄寺の一言で少しキレそうになったが、文句を言いつつもクッキーを食べ続ける姿を見て、は怒るのを止める。
だが、獄寺の口から文句の言葉が消える事は無い。
袋の中のクッキーは、残り少なくなっていた。



「……絶対、分量間違えてるだろ」
「えー、そうかなぁ。……それかさ、」
「あ?」
「その甘さは、獄寺君への愛の量だよ」











(だからきっと、凄く甘いんだよ)





配布元:確かに恋だった

080509

prev next

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -