暑い暑い夏が、やっと過ぎた九月中旬。
屋上での日向ぼっこが、とても好きになれそうな時期だ。
夏真っ盛りに昼寝をすると、顔や腕が焼けてしまいそうだから、少し避けていた。
が、九月にもなると、風が吹いて、とても気持ち良い。
授業をサボるには、絶好の場所でもあった。

――――なのに。



「やっぱり此処に居たんだね、獄寺君」
「‥‥げっ」
「…私の顔を見た瞬間に、その言葉は酷いんじゃない?」



風紀委員の名前が大登場。
こんな機嫌と気持ちが良い時に現れなくても良いだろう、と思ってしまう。
名前も並中の生徒だから、授業中の筈。
其れは獄寺も同じなのだが。



「……風紀の仕事でか?」
「うーん……其れもあるけど、私もサボり。数学嫌いだし」
「出来なくなっても知らねぇぞ」
「大丈夫だよ!ツナ君達と一緒に勉強するから」



ニコニコと笑いながら、さり気無く獄寺の隣に座る名前。
文句を言おうか迷ったが、面倒なので獄寺は口を塞ぐ。
今はそんな気分でも無いから。



「獄寺君、屋上好きだよねー」
「……十代目も好きだからだ」
「其れだけなの?私、此処でする日向ぼっこが好きなんだと思ってたんだけどな」
「・・・・・・・其れもある」



意地っ張りな獄寺の発言を聞いて、クスリと笑う名前。
思わず獄寺はそっぽを向いてしまう。
不覚にも、笑った名前の顔が可愛いと感じてしまったから。



「私も屋上好きだよー。此処で寝れると最高だと思うなー。あ、後教室も結構好き」
「……応接室はどうなんだよ」
「あそこで寝れる訳無いじゃん!雲雀さんは偶に寝てるけど。無理無理!」



獄寺の言葉を必死で否定する名前は、一生懸命右手を振る。
どれだけあそこの場所が凄いのか、今の一言で分かってしまう。
そんな委員会に入っている名前も凄いだろう。



「‥‥‥でもね」
「あ?」
「私、屋上や教室よりも、獄寺君が好き。獄寺君が居るから、此処も好きになれるんだよ?」
「・・・・・・・・・・・そうかよ」
「うんっ!」



名前は獄寺の肩に寄り掛かり、大空の方へと向く。
綺麗な雲と、キラキラと輝いている太陽が、良く見えた。
獄寺も、名前に吊られて上を向いた。



「‥‥‥俺も」
「ん?」
「……お前が居る教室と屋上が、好きだ」















(笑顔で、貴方と過ごしたいな)





*『**Ever Blue』様の二十万打記念に捧げます!
少し遅いですが、おめでとう御座います!
応援と日頃の感謝を込めて!!

070924

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