ずっと、会いたかった人。 ずっと、一緒にいたいって・・・・・・・・・・・・・・・・・・本気で思った、私の大好きな人。 ただ、貴女を守りたい。そんな想いが僕を強くするんです。 「じ、十年バズーカ撃たれて・・・もう5分以上経ってるよね?何で、5分経っても過去に戻れないのかな?」 有り得ない。名前は今、絶体絶命のピンチに陥っていた。 名前は沢田綱吉の姉で、綱吉の家庭教師及び、ボンゴレファミリー所属のアルコバレーノ・リボーンに無理矢理ボンゴレに入らされた。 ボンゴレリングは晴、雷、嵐、雨、霧、雲・・・・・・・・・そしてボスの証である大空のリングの7つ。名前はリボーンからそう聞かされていたのだが・・・・・・実は歴史から隠蔽されたもう1つのボンゴレリングが存在するらしい。 ――それは、『無』。 『全てのモノに惑わされず、孤独を望む無風』 使命は、『ファミリーの力を一切借りず、たった1人で【何もかも全て】を無に帰す』こと。 まるで、大空の使命とは正反対のように感じる・・・何とも寂しい守護者、リング、そして使命を与えられた人物。 だけど名前は今まで一度も、【1人】と言うものになったことがない。だから、使命の意味が分からなかった。 (と、とにかく!早く過去に戻らないと、ツナちゃんたちが心配する・・・!) 名前が家でランボと遊んでいたところ、ランボが急に泣き出してそれを彼女が泣きやませようとしたところ・・・・・・・・ 誤って十年バズーカが名前に直撃してしまい、十年後の世界に飛んできてしまったのだ。 (ヤッバいなぁ〜・・・・・・・5分以上経っても戻れないってことは・・・・・・まさか、故障!?) もしくは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・名前が10年後には・・・・・・・・・・・。 (いやいやいや、そんなネガティヴなこと考えてる暇があったら・・・十年後の皆に会いに行かないと駄目じゃんね!!) 名前はやっと起き上がり、辺りを見回した。 彼女から見て、名前が落ちてきた場所は・・・・・・・・・・・・・・・・何と運悪く白蘭のいるミルフィオーレファミリーのアジト付近。 しかし、名前は白蘭やミルフィオーレのことは全く知らない(だって過去から来たんだから、分かるワケないじゃん!) 幸いに指にボンゴレリングをはめているから、ミルフィオーレの人間に見つかっても倒されることはまずない。 最悪な事態・・・・・・・・ミルフィオーレの総大将である白蘭に見つかったとしても、【無】の守護者である彼女は・・・・・彼をも殺してしまうかもしれない。 歴史に隠蔽された理由は、あまりにも【無】が恐れられていたから。 今までその守護者になった者は、皆無のリングに取り込まれて、死んでいったのだから。 この日、名前は初めて『孤独』『ひとりぼっち』、と言うものを感じた。 寒くて、身体が凍えて死にそうな・・・・とても悲しい感じのする・・・・・・・・・・・・・それも【無】の守護者の使命なのだ。 「・・・・・・・・っっ、会いたいよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・骸・・・・・・・・・・・・・・・」 名前と骸は、綱吉たちが黒曜ランドで骸とその仲間たちと戦う前に知り合った同士。 ・・・・・名前は並盛に守護者が集まっている為、狙われないように黒曜中に通っていたのだった。 今は卒業して、ボンゴレの仕事を勤めているのだが。 と同時に、二人は恋人同士でもあった。 黒曜で起きた出来事は、名前にとって人生の中で最悪な思い出となっている・・・そして綱吉たちのことを少し恨んでいるのが本音。 だが骸がクローム髑髏の身体を借りて、リング争奪戦でヴァリアー側の霧の守護者・マーモンと戦った際に再会を果たしたことは、彼女も一切、夢には思っていなかった。 「そりゃあね、骸の今までしてきたことはヤバいかもしんないけどさ・・・・私は骸が大好きだもん、愛してるもん」 名前は、独り言を零した。 「それは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・本当ですか、名前・・・・・・・・・?」 「・・・・・・・・・・っ!!この、この声は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・骸!!!!!」 後ろを振り向けば、背も高くなり背中も大きくなって・・・足も長くて、髪は伸びてるけど髪形は変わっていない・・・紅と蒼のオッドアイの・・・・・・・・・・・・・・六道骸が立っていた。 (10年後の姿、だよね・・・・・・・・・・・・む、骸っっ!!!!!) 名前は走り出し、思いっきり骸に飛びついた。それを、10年後の骸は優しく・・・そして強く抱きしめる。 彼女は、泣きたくてたまらなかった。 黒曜での出来事によって、復讐者によって牢獄に閉じ込められた、骸の身体。 クローム髑髏によって現れたリング争奪戦時に見た骸は・・・・・・・・・・・・・ただ実体化しただけ。 『鉄壁』と言われる牢獄の中で、今でも彼は閉じ込められているのは、充分に分かっていた。 目の前にいる骸(身体)が、本当の彼のじゃなくても・・・『心』はまさに骸本人、そのものだった。 名前の頬は、骸の両手によって包まれる。 そして、安心したのか・・・それとも嬉しすぎて悲しいのか・・・・・・・・・・・声を押し殺して泣いた。 一番、会いたかった人。ずっと一緒にいたいと、本気で思った・・・私の大好きな人。 「泣かないで下さい、名前・・・。現に【僕】は此処に居るんですから」 「だっ、だって・・・・・・・・骸はま・・・・・・・・・だ・・・・・・・・っっ・・・・ヴィ・・・復讐者の牢獄に・・・・・・・!!で、でも私は【骸】に会えて・・・・・・・・・・・・・・・・・・うわあああああぁぁあああぁぁああん・・・・・・・・・・・・!!!」 「・・・・・・・すみません、名前。貴女を悲しませるようなことを一生しないって、決めたんですけどね・・・・・・・・・」 骸は名前の目元にキスをする。 もう、自分の所為で涙が零れ落ちないように、流れないように・・・・・・・・・・・・・・・・・。 そして、骸は名前に優しいキスをした。 そして、お互いに今の状況を話し合った。名前はミルフィオーレのこととボンゴレの崩壊、10年後のツナが射殺されたことを知り。 骸は何故10年前の名前が此処に居るのかを知った。 「そうですか・・・・・・・その牛の十年バズーカで此処に・・・。でもバズーカは5分で戻るんですよね?」 「うん、そうなんだけど・・・・・何故か故障とか・・・・・・・・・あるいは10年後の自分は・・・・・・・・・・・・・・・」 「安心してください。名前が死んでいる、と言うことは報告されていませんから。ただ・・・ミルフィオーレの総大将を消す為に、行方不明になったとは聞いています。ですが、10年後の名前はきっと過去に飛んでしまっているでしょう」 「ええぇ!?自分、そんな無謀なことしてンの?」 (つ・・・・・・・・・・つ・・・・・・・・・・・・・・・ツナちゃんが・・・・・・・・・・・・・射殺されたて・・・・・・・・・・・!!!!!!ツナちゃん!!!!) 「心配しないで下さい、名前。ミルフィオーレの総大将は・・・・・・・・・・・・・・・この僕が倒します。 と言っても・・・・・・目的は倒すのではなく、彼の戦闘データを持ち帰るのが目的なんですが」 「!?だっ、駄目!!!そんな馬鹿なことはしちゃ駄目だよ・・・いくら骸が霧の守護者だからって、相手は敵のボスなんだよ!?」 名前は骸の着ている黒いスーツを強く握った。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もしかしたら、骸が死んでしまうのではないかと・・・身体の震えが止まらない。 「私も・・・・・・・・・私も、その白蘭って奴を消す!!骸を死なせるワケにはいかないよ」 「!!!?危険です、過去の名前が死んだら・・・10年後の貴女は存在しなかったことにされるんですよ?」 「私・・・・・・・・・・・大好きな、大好きな骸の傍から、離れたくないの。ずっと傍に居ようって決めたんだ」 その言葉を聞いた後、骸はすぐに後ろから名前を抱きしめた。 顔を彼女の首筋に埋めて、何があっても離れないように・・・・・・・・・・・・・・ぎゅっと抱きしめた。 「・・・・・白蘭を倒して、そして過去に帰って・・・・・骸を奴等から救い出して、今度こそ一緒に暮らすんだから」 「――分かりました、名前・・・・・・・・・・。名前・・・・・・・・・・・・・・僕は貴女が、好きです」 貴女を守りたい、そう願うだけで・・・・・・・・・・僕は強くなれる。だから、もう僕の傍から離れないで下さい。 end |