*応援
スクアーロが好き。
そう気づいたらあたし達の関係は普通に戻っていた。
いや戻るもなにもスクアーロはもとから普通だったんだろうけど。とにかくあたしの態度は普通に戻った。…否、戻した。
あたしは好きだと自覚したら意識してうまく喋れないとか緊張して顔見れないとかなるのが普通だと思ってる。モテる人の周りにいたからかそういう女の子を何人も見てきた。
つまり何が言いたいかというと、あたしの内心もそういう状態なのだ。普通に戻ったというのは態度だけで頑張って普通にしてるだけ。
まぁ告白したいとかどうこうなりたいとかそういう訳じゃないしね。だいたいスクアーロはきっとあたしのことをそんな風には見ていない。
「“だから何もしないの?”」
「“何もしないんじゃなくて今まで通り普通にしてるんだよ”」
「“それって何もしてないってことよね?”」
「…………」
隣に座る友達に言われた言葉に返す言葉が見つからない。
彼女は入学式の日に仲良くなった日本好きの女の子、リアちゃん。綺麗で大人っぽくて面倒見がいい…ここでは一番仲の良い友達だ。色々してくれてもはやお姉ちゃんみたいになってるけど。
「“告白すればいいじゃない。仲いいんでしょ?”」
「“仲いいって…そういうんじゃないよ?”」
リアちゃんはなんて言うか恋愛に対して積極的だと思う。綺麗だしモテるしね。
それに比べて多分私は恋愛に関してはすごく消極的だ。自分で言うのもおかしいけど。
「“リア、なまえ、何してんだ?”」
「“あ、レオくん”」
「“レオ”」
そうしてベンチで喋っていると後ろからかけられた声。振り返るとレオくんがいた。
彼はリアちゃんの幼なじみということで仲良くなった友達だ。
彼もまぁいわゆるイケメンで面倒見もいい。実際1つ年上だし、なんだかんだ助けてくれるお兄ちゃんみたいな存在だ。
「“何話してたの?”」
「“なまえの恋の話よ”」
「“ちょっとリアちゃん”」
何でそんなさらっと言っちゃうのかな。驚くレオくんに説明してるし。
「“へぇ、じゃあ今度のダンスパーティーに誘えば?”」
にこっと笑って言ったレオくん。
「“ダンスパーティー…?”」
「“いいわね!そうしなさいよ”」
「“ちょっと待ってなにそれ”」
「“学園祭の後にあるやつよ。掲示板に案内あったでしょ?”」
ついていけてないあたしに外部の人も来れるんだと2人が説明してくれる。あぁそういえばそんなこと聞いた気もするな…
「“ほんとはさ、友達になまえのこと紹介してくれって頼まれてたんだけど”」
「へ?」
断っとくな、と笑ったレオくん。
何だそれ。
「“お、そろそろ次の授業の時間じゃないか?”」
「“本当!テスト急がないと始まっちゃうわ。なまえ、行くわよ”」
「え…」
よく分からないままリアちゃんに手を引かれて教室に向かう。
「“なまえ!”」
「“なに?”」
「“応援してるからな!”」
振り返ると次の授業はないらしいレオくんが手を振りながらそう言った。
応援、されてもなぁ…。そう思いながらも一応うなずく。
とりあえずテストを頑張ろう。
…スクアーロに教えてもらったとこ出たらいいな。
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