気付いたこと



なまえの風邪が治って数週間。
気づいたことがある。

「いらっしゃいスクアーロ、久しぶりだね!」

それはこいつが思っていた以上に適当なやつだったということだ。
まずなまえが風邪を引いた時に判明した部屋の散らかり具合について。
あいつは片付け苦手なんだよねとか言ってるけどあれはもはや苦手とかいうレベルじゃない。やる気が全く感じられねえ。

「う゛お゛ぉい、また散らかってんじゃねーか!」

部屋に入ると目につく床に散らばったたくさんの本。
その本棚は何のためにあるんだと問いたくなる。

「いやー、新学期だからか教科書いっぱいでさ」

片付けが苦手というよりそれが気にならない程おおざっぱというのか…
あれ以来任務が空いた日は何度かなまえの家に来ているが来る度に部屋は散らかっている。

「…飯はもう食ったのかぁ」

「まだ。そんなお腹空いてないしいいかなって思ってたとこ」

そう言ってなまえがへらりと笑う。
そう、もう一つ最近分かったことはなまえはとてつもなく面倒くさがりだということだ。
一人暮らしだから作るのが面倒なのか食べるのが面倒なのか、こんな調子でしまいには食事もろくにしなくなる。

「…何か作るからその間にその床にある本何とかしとけぇ。通れねぇ」

「はーい」

そう言ってしぶしぶと動き出したなまえ。
ったくこいつは…と思いながらキッチンに向かう。こいつがこの調子だから来るとオレが飯を作るのも恒例になっちまったなぁ…


+++


「いただきます」

料理を前に手を合わせるなまえ。床にあった本達は全て後ろの机に積み重ねられていた。…もう何も言うまい。

「美味しい!」

いつも思うことだが飯を食っている時のこいつはほんとに幸せそうだ。…食いもんでイタリアを選ぶ位食べるの好きなくせしてそれに面倒くさいが勝つんだもんなぁ…

「日本でも一人暮らししてたんだろぉ。こんな調子だったのかぁ?」

「ううん、日本では山本家でよくご飯食べてた」

「山本家だぁ?」

ほんとこいつの話には山本武がよく出てくるな…つーか家って何だ、山本家って。

「山本ってお父さんと二人暮らしじゃん?だからたまに呼んでくれたり…あ、山本が合宿でいない時とかはおじさんと二人で食べたよ」

「………」

山本の親父とも仲いいのかよ。それ友達の域越えてんじゃねえかと思うのはオレだけか?

「あとごくたまにあたしが作ることもあったかな」

思い出すようにそう言ったなまえ。

「…お前料理できんのかぁ?」

「失礼な。できるよ。じゃなきゃ一人暮らしやってけないじゃん」

「………」

「何その疑いの目」

そう言ってなまえがじとりと睨んでくる。
いや、疑ってる訳じゃねぇし料理くらいできるだろうと思うがただ想像がつかない。なまえと出会ってまあまあ経ったが料理をしているとこなんか見たことねえからな。

「…明日暇?」

そんなことを思っているとなまえが言った。

「明日?夜ならあいてるが…」

「ご飯作る、から食べにきてよ」

「は?」

何を言い出すかと思ったら…

「あたしも料理くらい作れるもん」

「いや、作れねえだろとは言ってねぇ」

「いいじゃん、あいてるんでしょ?1人で食べるよりスクアーロと食べたほうが美味しいし」

ね?と言われたら断る理由もねえか

「無理はすんなよぉ」

そう言うと了解!と笑ったなまえは何作ろうかなと楽しそうにしていた。

これは明日が楽しみだなぁ。




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