残ってた線香花火 「「「線香花火…?」」」 「うん。これね、物置から見つけたの。みんなでやろうよ」 「花火って夏にするもんじゃねーびょん?」 「そうそう、夏のが残ってたから今やろうと思って」 秋も深まり少し肌寒くなってきた夜の公園。 三日月が輝く空の下には犬と柿ピーと髑髏ちゃんとあたしの4人だけ。 「来年だとしっけちゃってできないかもしれないしさ」 「ふーん、まあいいけど」 「花火久しぶり…」 「よし、じゃあさっそく火つけてやるびょん」 持ってきたろうそくにマッチで火を灯しみんなに線香花火を配る。 しばらくするとぱちぱちと控えめに光る花火が4つ並んだ。 「綺麗…」 「あ!こいつ落ちるの早すぎびょん!」 「犬の持ち方が雑だからだよ」 「なんらと柿ピー!」 「ほら犬、まだあるから。髑髏ちゃんもどうぞ」 「ありがとなまえ…」 「次は落とさねーびょん!」 線香花火にむきになる犬、静かに光を見つめる髑髏ちゃん、ちょこちょこつっこみながらも黙々と自分で花火を楽しむ柿ピー。 3人といるこういう時間はやっぱりとても居心地がよくて。 「……季節外れかなって思ったけどさ、こういうのもいいよね」 そう言うとみんなそうだねって笑ってくれたから。 来年も再来年も…毎年こうしてみんなで線香花火ができたらいいなって思った。 残ってた線香花火 *元拍手御礼 ← |