「くさかべ、恭ちゃんは?」

なまえがボンゴレ、もとい雲雀の元にやってきて数日。この場所に小さな女の子がいることも大分見慣れたものになってきた。

「なまえさん、恭さんは今日は早朝からの任務で、なまえさんを起こさないように出発されたんです」

朝起きて雲雀がいなかったため草壁のところにやってきたなまえに彼が説明する。

「おしごと?」

「はい。夕方には戻ってこられますのでそれまで一緒に待っていましょうね」

「うん!」

草壁はなまえに話しかける時、難しい言葉はなるべく分かりやすくするよう心がけている。しかし必要以上に子ども扱いすることはない。大人ばかりの中で過ごすなまえにとってそれはとても嬉しいことだった。そのためかなまえが雲雀の次に懐いているのは草壁だ。

「何かして遊びますか?」

朝食、着替えと一通り朝の支度を済ませた後草壁が尋ねる。

「えっとね、おえかき」

「ではあっちの部屋でしましょうか」

「はーい!」

そう元気よく返事をしてなまえは道具を取りに行った。

「ヒバード、ですか?」

「うん!ヒバードがおそらとんでてね、あとね、恭ちゃんもかくの」

草壁が絵を見て尋ねると嬉しそうに説明する。描いている時のなまえは真剣そのもので、それは一生懸命さや楽しさが伝わってくるような絵だった。

「そうですか。恭さんが帰ってきたらきっと喜びますね」

「くさかべもかくからね!」

「ありがとうございます。楽しみにしていますね」


***


「………」

任務から戻ってくるとなまえは畳の上に丸まって眠っていた。いつもみたいに迎えに来ないと思ったらこんなところで昼寝していたのか。

「恭さん、お帰りなさい」

「ただいま」

哲の声に振り返ると彼はタオルケットを持っていた。

「つい先ほど眠ってしまわれたんです。今日はずっと絵を描いて遊んでいたんですが」

「絵?」

なまえにタオルをかけながら言った哲。テーブルに視線を向ければ、そこには色とりどりのクレヨンとなまえが描いたらしい絵が散らばっていた。

「恭さんとヒバードとなまえさんだそうですよ」

哲が差した絵には人間が2人と小さな黄色い鳥が描かれていた。…画用紙の中のなまえも僕も楽しそうに笑っている。空を飛んでいるヒバードまで笑っている。一生懸命描いたのだろう、子どもらしいその絵に自然と笑みが浮かぶ。

「なまえさんは絵を描くのが好きなようですね」

一日中飽きずに描いていたと彼が言う通り、他にも色々な絵があった。花や動物、哲に綱吉や他の守護者たち。目が覚めたらまたあの嬉しそうな笑顔で見せにくるんだろう。


大好きなおえかき


「可愛いですよね」

「…ふ、そうだね」


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