「とれた…!」

「おー、捕れたな!」

グローブに白いボールが収まる。オレは今日は任務がなくて、雲雀は任務に行っているので1日なまえと一緒に遊ぶことにした。キャッチボールをするのが初めてらしいなまえは上手くボールを捕れたことにきらきらと目を輝かせている。ちなみに中学生の頃とは違ってオレもちゃんと手加減できるようになった。

「楽しいね、これ」

「野球、な!」

「やきゅー、楽しいね!」

にこっと笑って言ったなまえにオレもなんだか嬉しくなる。

「そろそろ昼飯にすっか」

「お昼ごはん!」

なにたべるの?とててっとよってきたなまえ。何にすっかな。

「そーだ、なまえ寿司って食べたことあるか?」

「すし?」

首を傾げる様子を見る限りよく分かっていないようだ。よし、今日の昼飯は寿司にしよう。
オレが握ってもいいけど、どうせなら店に連れてってやりたいよな。そういえばなまえってこのアジトから出たことあるのか?まぁ別に外に出たらだめなんてことはないだろうけど。

「んー雲雀に電話してみっか」

とりあえず雲雀に確認してみよう。なまえにちょっと待っててくれなと伝えて携帯を取り出し発信ボタンを押す。


「あ、雲雀、今ちょっといいか?」

『何の用?』

「いやぁなまえが寿司食べたことねーって言うから連れてってやろうと思うんだけどさ」

なまえの保護者は雲雀みたいなもんだから一応許可とっとこうかと思ってと話しているとくいっと下から服を引かれた。見るとなまえが恭ちゃん?と首をかしげている。

「あー、なまえにかわるわ」

そう言って恭ちゃんだぞと電話を渡してやるとなまえはぱあっと顔を輝かせた。

「恭ちゃん!もしもし」

嬉しそうだなぁ。雲雀と電話をするのは初めてなのか。まぁそりゃそうだよな、いつも一緒だから電話なんてする必要ねーし。



「恭ちゃん、たけちゃんとおすし行っていい?」

『…たけちゃんて山本武のこと?』

「うん!あのね、さっきやきゅうしたの」

『…分かった、早く帰ってくるんだよ』

「うん、恭ちゃんもね!ばいばい」



許可がおりたらしくにこにこと笑うなまえから電話を受け取る。

『早く帰ってこないと咬み殺すから』

「ははっ、分かってるって。美味いもん食わしてきてやっから雲雀も任務頑張れよ」

『余計なお世話だよ』

「はは、それもそうだな。んじゃまたな!」

通話を切りなまえに向き直る。

「たけちゃん、ありがとう」

「ん?あぁ、どういたしまして」

今このタイミングでのありがとうはきっと雲雀と電話できたことに対してなんだろうな。嬉しそうに笑うなまえを見てそんなことを思った。


初めての電話


「んじゃ行くか!」

「うんっ!」


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