練習が終わって、田島や三橋と自転車で帰ろうとしたら、歩いているみょうじに出会った。

「あ、みんなお疲れ様!」

「あれ、今日みょうじ自転車じゃねーの?」

そう尋ねる田島にみょうじが頷く。自転車がパンクしてしまったから今日は歩いて来たらしい。

「1人なのか?篠岡は?」

「うん、他の部活はもう終わっちゃってるし、ちよちゃんは用事あるからって」

「そっか」

今日はちょっと練習長引いたしな。

「パンク、大丈夫?」

「うん、修理してもらってるから明日には使えるよ!」

「送ってってやろっか?」

「いいよ、田島っち家すぐ近くじゃん」

「遠慮すんなって!ほら!後ろ!」

田島が目をきらきらさせながら自転車の後ろに乗るように促す。みょうじも悪いよーと言いながら目が輝いている。

「二人乗りは危ない よ」

「大丈夫だって!な、みょうじ!」

「うー、うん…!」

2人のやり取りを見ていた三橋がそう言うと田島はチャリの方が早いし楽だしと笑った。みょうじは一瞬迷っていたが楽しそうという気持ちのほうが勝ったらしい。

「…三橋の言う通りだと思うぞー」

黙って見ていたけど本当に2人乗りで帰りそうだったのでそう言うと不満そうな顔をした田島がこちらを向く。

「えーでもみょうじ一人で歩いて帰るとか危険じゃん」

「二人乗りがだめだって言ってるだけだろ。お前ら怪我したらみんな困んの」

「そうだ オレたち怪我しちゃだめだ…!田島くんも、みょうじさんも…!」

三橋がそう言うと田島もみょうじもはっと気づいたような顔になる。

「そっか…ごめんねみはちゃん!」

「オレもごめん!」

「え、いや、2人が謝ることじゃ…」

頭を下げた二人に三橋がおろおろと戸惑っている。いつもこいつらはこういうとこ素直だなと思う。

「しゃーねーな、みょうじカバン」

「カバン?」

首をかしげるみょうじにカバンを自転車のかごに乗せるように言うと田島が二人乗りは危険だぞ!と言う。それさっき三橋とオレが言ったじゃねーか。

「分かってるっつーの。荷物だけのせてオレも歩くからいいんだよ」

「え?」

「そっか!泉はみょうじと方向一緒だったよな!」

「え、悪いよ!一人で帰れるよ」

「夜は危ない から…!」

「そーだぞ!遠慮すんな!」

「それはオレのセリフだろ。いいから帰ろうぜ」

じゃあオレも途中まで歩く!オレも!と自転車を降りた田島と三橋。それじゃあ帰るか、と暗くなった道を4人で歩き出した。

二人乗り

「ありがとうね、いずみん」
「別にどうせ方向同じだしな」
「うーん、それもだけど」
「けどなに?」
「やっぱり、何でもない!」


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