「あれ?にっしー?」

「え?」

今日の練習は午後からだ。午前中に妹と買い物に行くため歩いていたら不意に名前を呼ばれた。

「やっぱりにっしーだ!おはよう」

「おはよう、みょうじ」

顔をあげるとそこにいたのはみょうじだった。オレだということを確認して、彼女が自転車をおりる。カゴには買い物袋が入っていた。みょうじも買い物に行ってきたんだろうか。

「妹さん?」

「あ、うん」

「…お兄ちゃん、このお姉ちゃんだれ?」

「みょうじなまえさん。野球部のマネージャーさんだよ」

「はじめまして、みょうじなまえです」

みょうじがしゃがんで妹と目線を合わせる。にこっと笑った彼女に妹も警戒心を解いたようだ。

「お兄ちゃんとお買い物?」

「うん、あのね、スーパーでおかしかってもらうの!」

「わー!いいね!」

にこにこと笑う2人はなんだか微笑ましい。みょうじって子どもに好かれるタイプっぽいもんな。そんなことを思っていると、みょうじがそうだ、と思いついたように声をあげ、がさがさと買い物袋の中を探り始めた。

「はいこれ!あげるね!」

そして妹の手に小さなお菓子の袋を握らせる。

「え、みょうじ?そんな、悪いよ…!」

「いいのいいの!今日ひなまつりだからさ!」

そう言われて袋をよく見るとそこには“よいこのひなあられ”と書かれていた。

「実は野球部のみんなに配ろうと思っていっぱい入ってるの買って来たんだ」

部活終わった後にちよちゃんと一緒に渡すつもりだからみんなには内緒ね、と笑うみょうじ。

「うん、ごめんね。ありがとう」

「お姉ちゃん、ありがとう!」

「どういたしまして!にっしーはいいお兄ちゃんだね」

「え!?そんなことないよ」

いやいやいいお兄ちゃんだよねーと妹に言うと妹がうん!と頷く。そういうの嬉しいけど、目の前でやられるとちょっと恥ずかしい…

「よし、じゃあ私はそろそろ行くね。にっしーはまた部活で!妹ちゃんもまたね!」

そう言って自転車にまたがり手を振って帰っていったみょうじの後ろ姿を見送る。

「いいお姉ちゃんだったね!」

「うん、そうだね」

妹の言葉に大きく頷いた。


ひなまつり


「お疲れ様!ひなまつりだから私とちよちゃんからひなあられです!」
「おー!すげー!ありがとー!」
「ひなまつりって女の子の祭じゃなかった?」
「みょうじと篠岡が女の子だからいいんじゃね?」
「まぁ細かいことはいいだろ!」
「みんなで食べよう!」


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