ある休日の雨の朝。
ドアを開けると9組野球部の4人が立っていた。

「おはよーハマちゃん!」

「おっす、って今起きたのかよ」

にっこり笑って挨拶をしたみょうじともう10時だぞと蔑むような目で言う泉。

「え?なんでみんな…」

「おぉー浜田んち初めてだ!」

「オレも初めて だ!」

田島と三橋はなぜか横をすり抜けておじゃましまーすと部屋に入っていった。

「え、どういうこと?」

今日は久々にゆっくり眠れると思っていて…野球部も雨だから練習は休みなはずで…。
思考がついていかないオレに気づいたみょうじが説明してくれる。

「あのね、今度提出の課題をみんなでやろうってことになってさ。ハマちゃんも一緒にやらないかなってなったの」

「そうなんだ…」

うん。でもなんでオレの家?っていうね。

「どうせ課題終わってねんだろ?ほら一応菓子とジュースは買ってきてっからさ」

まだ理解できないオレに泉がそう言った。
確かに課題は終わってないけど…と思っている間に2人も中に入っていく。
…まぁいいか。ていうか田島と三橋が入っていった時点でもう追い返せないしな。


「よしさっさと課題終わらせるぞ」

泉の一言で3人が机に課題を出しながら座る。

「はーい!みはちゃんどこまでやった?」

「ま、まだ1ページ…みょうじさんは…」

「私もまだ3分の1くらい。田島っちは?」

「まだゼロ!」

「ハマちゃんは?」

「あーオレもまだ半分もいってないくらいかな…」

「よし、じゃあやるぞ。分かんなかったら後で早く終わったやつに聞くこと」

そうして勉強会inオレの家が始まった。







…なんかこいつらってほんとすげーよな。何がすごいって集中力がすごい。
普通友達と一緒に勉強ってなるとだらだら喋ってしまうものだと思うんだけど。
誰もが黙々と課題に向かっていてもう1時間が過ぎようとしていた。

「っし、終わった!」

そんなことを思っていると泉が終わったらしい。

「わ、いずみん早い!」

「もともと半分くらいは終わってたからな」

「ダメだ、全然分かんねぇ。泉教えてくれ!」

「泉くん、オレも…」

「まとめて見てやるからこっち並べ」

2人が泉の横に移動する。みょうじはよーし私も終わらせるぞ、とさらに集中力を増している。


「終わったー!」

それから10分ほどしてみょうじがそう言った。
早いなぁと言うとへへっ頑張ったでしょと笑うみょうじ。

「みょうじ終わったんなら田島の見てくれ。オレは三橋の見るから」

「了解!泉大佐!」

「誰が大佐だ」

「みょうじ中佐、よろしくご指導お願いします!」

「うむ、では田島隊員はこっちに来たまえ」

「アイアイサー!」

そうして今度は田島がみょうじの横に移動し再び勉強が始まった。
なんだったんだ今のショートコント。ていうかオレ一人ぼっちかよ。…オレも早く終わらそう。



「やっと終わった…」

こんな集中してやったの久々だなぁなんて一息つくと田島と三橋はまだ頑張っていた。
…ちょうどもうすぐ昼時だしなんか食べるもんでも作ってやるか、と台所に向かう。




「終わったー!!」

しばらくすると2人とも課題が終わったらしい。

「おーお疲れー今昼飯作ってるから」

「うおーまじで!浜田すげー!」

「いい匂いだ…!」

「ハマちゃんすごい!何か手伝うことある?」

田島と三橋とみょうじがバタバタと台所にやってくる。

「あぁ、じゃあこっちのスープの…は泉に頼もうかな。みょうじはお茶入れてくれる?」

「はーい!」

「こないだの調理実習みょうじ達の班は大変そうだったもんな。これ混ぜればいいの?」

手伝いを申し出てくれたみょうじにスープの仕上げを頼もうとして先日の出来事を思い出してやめた。みょうじは何も気づいてないみたいだったけど後からやってきた泉にはお見通しだったようだ。


「なにこれうめー!」

「美味しい…!」

「確かに旨いな…」

「ほんと美味しい!ハマちゃんって料理上手なんだね!」

別にあり合わせで適当に作っただけなんだけど…そんなにおいしいって言ってもらえると嬉しいもんだな。


「これ終わったらなにする?」

「オレゲーム持ってきたからやろうぜ!」

「あ、前言ってたやつ…?」

「おう!」

「手加減しねーぞ」

「私も負けないよー!」

食事中もわいわいと盛り上がっている4人。一人暮らしだから家の中がこんなに賑やかなのって不思議な感じだ。
でもこういうのも悪くないな。ちょっと兄弟ができたみたいだなんてそんなことを思った。


突撃訪問


「おかわりあるからなー」
「やったー!」


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