「あれ?みずたにん?」

休み時間、9組の教室にやってきた。でも教室に泉たちはいなくて、きょろきょろとしているとみょうじがこちらに気づいた。

「みょうじー泉たちは?」

教室にお邪魔して窓際のみょうじの席に向かう。

「いずみん達?さぁ、トイレかな?どうしたの?」

「いやあ、英語の辞書借りようと思ったんだけど」

「英和?」

「うん」

「あたしの貸してあげるよ、今日もう使わないからさ!」

そう言って机の中から辞書を出してくれたみょうじ。ありがとうと受け取る。

「みょうじはなにしてるの?」

「これね、こないだの試合のデータ整理してるの」

「えっ」

何かを書いていたらしいみょうじの手元を覗き込むと、ルーズリーフにこないだの練習試合のデータが細かく書き込まれていた。こういうの休み時間までやってくれてるんだ…。知らなかった。

「なんか…いつもありがとね」

「ははっ、いきなりどーしたの?」

「いや、あんまそういうの言ってないなって」

部活中は必死だし、終わっても疲れてすぐ帰るし、今までちゃんと伝える機会無かったけど、みょうじとか篠岡とかほんと感謝してるんだ。
オレの言葉を聞いたみょうじは一瞬驚いた顔をしたけどすぐにいつもの明るい笑顔でありがとうって笑った。

「あれ、それってプリクラ?」

何となく照れてしまって視線を移すと、みょうじの持っていたペンにはプリクラが貼ってあった。

「あ、これねーこないだちよちゃんと撮ったんだよー」

そう言いながらみょうじがペンを手渡し見せてくれる。篠岡と2人で写ったそれには西浦野球部マネジなどと可愛らしい文字で書かれていた。

「みずたにんはプリクラとか撮ったりする?」

「んー撮らないなぁ、ゲーセンは行くけど」

女子はそういうの好きみたいだけど、あんまり男子は撮らないよね。

「今度みんなで撮りたいなー」

「みんな…って野球部のみんな?」

「うん!」

それはとても楽しそうだ。でも嫌がる人もいそう。阿部とか阿部とか…あと泉とか花井も。

「こないだ9組でも撮ったんだよ」

「え!?」

そう言って手帳に貼ったプリクラを見せてもらうと、泉に田島、三橋、浜田、みょうじの5人が写っていた。

「ふ、泉の顔!」

何となく不機嫌そうな泉の顔に思わず笑いがもれる。

「いずみんプリクラ好きじゃないんだって」

田島っちとみはちゃんは楽しんでくれたみたいだったけどみんなも嫌がるかなぁ…とみょうじ。

「オレは嫌じゃないよ」

そう言うと彼女の表情はぱっと明るくなった。

「じゃあ今日のミーティング終わったらみんな誘ってみよーよ!」

「うん!」


ペンに貼ったプリクラ


「おい、何の話だ」
「わ、泉!」
「いずみんおかえりー」
「…オレは行かないからな」



行かないといいつつ結局みんなで行きます。


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