4.ショッピング




「買い物?」

翌朝。
朝ごはんを食べ終わり部屋にいると骸がやってきた。

「ええ、色々と必要でしょう」

「あー…そうやなぁ…ちょっと待って」

一緒にこの世界にやってきた学生かばんの中を確認する。入ってたのは筆記用具に財布にお菓子、あとは生徒手帳くらい。そして財布の中身は…

「げ、175円…」

ジュースくらいしか買えへんやん。

「なまえ、どうかしましたか?」

「え?えーっと財布の中身がなんつーか…まいう棒17本しか買えへん状態っつーか…」

「…まいう棒のたとえにはあえてつっこみませんが…お金のことなら心配ありませんよ」

「へ?」

ていうかそんなこと言わんとつっこんでくれたらいいのに。ノリ悪いな。

「沢田綱吉からなまえの必要なものを全て揃えてくるように言われています。それにコレもありますしね」

「ん…?それって…ブラックカード!?」

骸の手には黒く光るカード。
すげー初めて見た!

「クフフフフ…どうせボンゴレの金です。なまえ、思う存分使いましょう」

「いや、あかんやろ。つーか骸もボンゴレやん」

「僕はボンゴレではありませんよ。マフィアと一緒にされるなんて心外です」

「…うん、なんかごめん」

そういえばそうやったな。あたしにとってはマフィアでもマフィアじゃなくても一緒やけど。

「分かってもらえればいいんです。では行きましょうか」



--------------------



「買い物くるの久しぶりやー!」

骸と2人でお店のたくさん並ぶ通りを歩く。

「さぁどこから行きますか?今日は1日なまえにつきあいますよ」

「ありがと!とりあえず服かな。ずっと制服でおるわけにもいかんし。必要最低限のものをなるべく安く!」

「だからお金のことは気にしなくても…」

ぐっ、と拳を作って意気込んだら骸が言った。別に気にしてるわけじゃないねんけどな。

「まぁまぁ任せて!あ、あそこのお店入ろ!」



--------------------



「なまえ、決まりましたか?」

「決まったで!これでいくわ」

とりあえず着回しとか洗い替えとか色々考えて1週間はもつように選んだ。

「それだけでいいのですか?」

「それだけって結構あるねんけど。十分十分!こっからが勝負やからな!」

「は?何がです?」

意味が分からないといった表情の骸。

「まぁ見てて!」



--------------------



「はー!いい買い物した!」

「すごいですねなまえ…」

「へへっ!」

あの後お店の人と値切り交渉。2着分くらい得した。まぁ量が量やったし、値引きしてくれそうなお店選んだしな。

「散々値切ったのに骸が会計ん時ブラックカードとか出すからお姉さんひきつってたけどな」

「現金は持ってなかったんですよ。まぁいいじゃないですか。他に買うものはありますか?」

「そーやなぁ…パジャマと下着かな。まぁパジャマはなくてもいいっちゃいいけど」

「なくていい…?昨日はどうしたんですか?」

「昨日はツナの並中ジャージ借りた。サイズがな、ちょうどいいくらいやってん」

2-A 沢田って書いてたけどな。まぁ誰に会うわけでもないし寝るときくらい何着ててもいっかなって。

「…新しいのを買いましょう。僕が選んであげますよ、パジャマも下着も」

「いやいや一緒に下着屋さんとか行きたくないから」

「クフフフ…照れてるんですか?まったく、可愛いですね」

「変態か。別に照れてるとかちゃうし。とにかく遠慮します。あ、じゃあ分担にしよ!骸パジャマ買ってきてや。時間短縮にもなるし、な?」

なんか昨日の今日やけど骸の変態な感じに慣れてる自分が怖い。まぁ骸はそうゆうキャラやからってことにしとこ。

「…分かりました。では終わったらここでまた会いましょう」

「ん、了解。じゃあまた後で」



--------------------



買い物を終えて待ち合わせ場所に行くとすでに骸は来ていた。

「骸!お待たせ!買えた?」

「はい、いいのが見つかりましたよ」

「どれどれ…って何これ!」

差し出された袋の中身に絶句する。

「可愛いでしょう」

何故か得意げな骸が買ってきたのは黒のショ―パンとパーカー。いやそれはいいねんけどさ。あたしを絶句させたのはそパーカーの方だ。

「ネコ耳って!あかんやろ!」

そう、パーカーにはなぜかぴょこんとネコ耳がついていた。

「何でです?」

「何でて…コスプレみたいで恥ずいやん!」

「いいじゃないですかパジャマなんですから。誰かに見られるわけでもありませんし」

「まぁそうやけど…」

それはあたしも昨日思ったことやけどな。でもどうなん!何か無駄にレースとかいっぱいついてるし!

「あぁ、あとこれは僕からです」

「え?わ…!きれい!」

ネコ耳と葛藤していると骸から差し出されたのはかわいらしい小さな花束。

「途中の花屋で見つけたんです。なまえの部屋は急遽用意したものと聞いたので殺風景なのではないかと思いまして」

「…嬉しい!ありがとう!」

そんなこと考えてくれてたんや。なんていうか、やっぱイタリアーノ、紳士やな。

「クフフ…喜んでもらえてよかったです。それでは帰りましょうか」

「うんっ!」

にこっと笑った骸と並んで歩きだす。
ん?パジャマの件が流された気がするけど…まあいっか。










「#甘甘」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -