16.終わりは始まり




「なまえが戻りたいならもといた世界に戻れるんだ。…どうしたい?」

「どうしたいって言われても…」

それあたしだけで決めれることじゃなくないか?

「…その、ボンゴレから行った人ってどんな人なん」

「…うちの嵐の隊の男の子だよ。歳はなまえの1つ下だったかな」

「そっかあ…」

本間に入れ替わってるんならこれはあたしだけの問題じゃない。
その人もトリップ、ていうかいわゆる逆トリ?したってことになるんやもんな。
どうしてるんやろ。
話せたらいいんやけど無理やろうなー…

「無理じゃねーぞ」

「へ?」

「3分だ」

あたしの考えを読んだらしいリボーンが言った。3分て。

「…カップラーメンやん」

「真面目な話なんだけど…」

思わずつっこんだらツナに呆れ顔でため息をつかれた。
こんなシリアスな感じ耐えられへんかってん。

「ん!じゃあ3分!話してくる!」

「いきなり!?もっと考える時間とか…」

「大丈夫!」

だって考えるまでもなくもう自分の考えは決まってるし、とは言わへんけど。
どうすればいいんと聞くとリボーンに研究室にジャンニーニがいるからそこに行けと言われる。
まだ何か言いたそうなツナを残したまま行ってきますとツナの部屋を出た。



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「…はぁ」

「いつまでもため息ついてんなよダメツナ」

「……なまえ遅くない?」

「まだ5分しか経ってないぞ」

「なまえさん、帰ってしまうんですかね…」

「ツナ、元気だせよ。帰っちまってもまた会いに行けばいいのな!」

「そんな簡単なことじゃねーんだよ!いい加減なこと言うな山本!」

「うるさいよ。ちょっと黙ってられないの」

「おや、雲雀恭也ずいぶん冷静なのですね」

「冷静に見えるかい?」

「クフフ…群れるのを嫌うあなたでもなまえがいなくなるのは寂しいですか」

「咬み殺すよ」

「骸も雲雀もやめんか、オレたちがここで揉めていてもどうにもならんだろう」

「了平の言うとおりだぞ。お前はボスだろ。しっかりしろツナ」

「…分かってるよリボーン。みんな同じ気持ちだと思うけどこれはなまえが決めることだ。なまえの答えがどうであれオレたちは―…」



バンッ

「痛っ!」

「ただいまー…ってうわ、ごめんランボ、そんなとこおると思わんかった。っていうかみんなどうしたんおそろいで。ここツナの部屋やんな?」

ツナの部屋に戻ってくるとボンゴレーズが勢揃い。
勢いよく扉を開けたためランボに当たってしまったらしい。ごめん、大丈夫?と聞くと何故か抱きつかれた。
なんやなんや。

「なまえさん!オレなまえさんのこと忘れませんから!」

「は?」

何の話と口にする間もなくランボが吹っ飛んだ。

「どさくさに紛れて何してるの咬み殺すよ」

そしてトンファーをしまう雲雀さんと煙をあげているリボーンの銃。
何やこれ!

「ちょ!リボーン、雲雀さん、何してんの!てかランボも何言って…」

「オレも忘れないぞ」

「会いに行くのな」

「ちょ、ストップ!!」

なんかおかしい。
勘違いが発生してる気がしてならないので一人一言みたいな雰囲気のみんなをとめる。



「…あたし帰らへんで?」

「え?」

言った瞬間空気が止まる。

「だから、ここに残るから。あ、違う、ここにおいてくださいや」

そう言って頭を下げる、が反応がないため顔を上げるとみんなは放心していた。

「なまえ…帰らないの?」

みんなを代表したように言ったツナ。

「うん」

「…もう戻れないんだぞ?」

真剣な顔の獄寺に頷く。
もう戻れない、それはジャンニーニさんにも言われたし分かってる。でもここにいる。
それは全部理解した上で自分で決めたことだ。


「……良かったのな!」

「わっ」

しばらくの沈黙を破ったのは山本。くしゃくしゃと頭を撫でられる。それに続く了平さんや骸。
雲雀さんとリボーンには何故かはたかれた。痛いな。

「…まぁそういう訳やからこれからもよろしくお願いします」

少し落ち着いたところでみんなに向き合いそう言う。


「こちらこそ、なまえ」

そう言って笑ったツナ。
リボーン、骸、了平さん、ランボ、山本、獄寺もみんな笑ってて。
ここに残るって決めたんはみんなとまだまだ一緒におりたいと思ったからで。
トリップなんて最初はびっくりしたしありえへんて思ったけど、みんなに会えて本当に良かった。
みんなの笑顔を見てそんなことを思った。


だからきっと
始まりはここから




あとがき







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