15.六日目の夜
キッチンで夕飯の準備を始める。
「いやぁそれにしても楽しかったな。獄寺との2人旅」
「何だよ旅って。海行っただけだろ」
「お礼に今度あたしのチャリの後ろ乗せたげるな」
「いらねーよ。チャリは2人乗り禁止だろ」
「大丈夫やって」
「根拠ねーだろ」
「ちなみにあたしのチャリの名前はそれゆけなまえ号!」
「なんだよそれゆけって」
「風と下り坂が友達さ♪」
「意味分かんねーよ!なんだその歌」
「テーマソング!」
「はぁ…」
「まさかのため息ー!?」
「もういい。できたぞ。あとは揚げるだけだ」
「えー!?」
そんな会話をしているうちにエビフライはほぼできあがっていた。
あたしが遊んでる間に全部獄寺がやっちゃったんか!そりゃため息もつくわ!
「ほんじゃ揚げるのはあたしがやるわ」
「………」
そう言うと獄寺は何とも微妙な表情をした。
「何その顔!」
「…不安だ」
「いやいや、あたしもそれくらいできるから!もう獄寺は休んでていいで」
って言ったのに獄寺はあたしの横に立って海老達が油へダイブするのを見ていた。
え、なにやりにくい。
「よし、これで終わりっと」
最後の1つを皿にとる。あたしだってこれくらいできるのさ。見直したか獄寺。
と思ったらんだよそのどや顔と言われた。
「じゃあ片すか」
「おう!…ってあっつ!!油はねた!水!水!」
片付けようとしたら油が手にはねた。
「ったく…そこの水道で冷やしとけ。救急箱とってくるから」
「あ、うん」
流水で冷やせよと言い残してキッチンを出て行った獄寺。やっぱやったかって顔された。最後の最後でドンマイやなあたし。
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「とってきたぞ…って冷やしとけっつったろバカ!」
「冷やしたって!」
獄寺が戻って来て、もうそろそろいいやろうと冷やすのを止めてたら怒られた。
こーゆーのはもっと長い間冷やしとかなきゃなんねーんだよやってさ、へー。
「こっち来て座れ。手当てしてやっから」
促されるままに獄寺の前に座ると本間に手際よく手当てしてくれた。
「よし、できたぞ」
「ありがとー!」
すごいな獄寺…本間常識人やわ…昨日までの人々…主に雲雀さんや山本を思い出しながらしみじみと思う。
「…あ?何見てんだよ」
「いやー獄寺すごいなって思って。今のも適切な処置って感じで」
応急処置なんやろうけど手際もよくて仕上がりもキレイ。
やっぱシャマルに憧れてたからなんかな…ってそれは関係無いか。
「処置って大げさだな…普通だろ」
呆れた様子で言った獄寺。
「普通…まぁそう言われればそうやけどさ、ここの人達普通じゃなさすぎやん。だから普通のことを普通にやる獄寺がすごいよねみたいな?」
「意味わかんねーよ」
「いや、だって雲雀さんソースついてるって顔なめるし山本も怪我はなめると治るんだぜとか言い出すし…」
「んな!あいつら…!」
「そういう意味で獄寺はすごいなってことですよ。まぁ雲雀さん達も楽しいからいいねんけど」
「よくねーよ!お前はもう少し危機感もて!あいつらに何かされそうになったら呼べよ」
「…了解!兄貴!」
本間に心配性やねんから…でも獄寺には兄貴より相方でいて欲しいからボケといた。
「誰がお前の兄貴だ!!」
「いよっ!ナイスつっこみ!さすが!」
「何なんだよ!!」
やっぱ獄寺といると楽しいわ
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「いただきまーす」
料理を広間へ運びみんなで夕飯を食べる。
「今日はエビフライなのな!」
「うん!とれたてやで!今日獄寺と8810で海行ってきてん!」
「なまえと獄寺がとってきたのか?すげーのな!」
「極限だな!」
「なまえ、いつから名前で呼び合うようになったんだい。咬み殺すよ獄寺隼人」
「ちゃうよ、山本、了平さん。元漁師のおじいちゃんにもらってん」
「何でオレなんだよ!なまえも人のバイク変な名前で呼ぶのやめろ!」
ボケとつっこみが飛び交う中いつも通り賑やかな夕食タイムが終わりました。
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「なまえ、ちょっといいかな」
「ん?」
夕食を食べ終わって部屋に戻ろうとすると話があるとツナに呼び止められた。
ツナの後ろにはリボーン。
ここじゃなんだから部屋行くねと言われ何となく沈黙のまま後ろをついていく。
あたし何か怒られるようなことしたっけ。
「まあ座って」
促されるままソファーに座るとお茶を出してくれた。
リボーンは黙ったままエスプレッソ(多分)を飲んでいる。
なんやこの空気。
「…あのーどしたん?話って何?」
「…なまえがこの世界にきて明日で丁度1週間だね」
「あ、そーいえば…」
ツナに言われて初めて気がついた。
そっか、明日で1週間なんか…早いもんやな。
「なまえがどうやってここにきたのか、色々調べてたんだ」
「………」
「原因はやっぱりあの爆発。なまえが来ると同時にここの人間が1人いなくなってる」
「え?」
「つまりなまえと入れ替わったってこと」
「入れ替わったって…何でそんなん分かったん」
「ボンゴレの情報網をなめるな。入れ替わったのはボンゴレの人間だしな」
「へー…」
こっちのせかいの、ボンゴレにいた人があたしのいた世界におるってことか…それ大丈夫か?どーやって生活してんねやろ。
「それと同時にもとに戻る方法も見つかった」
「へ?」
「なまえが戻りたいならもといた世界に戻れるんだ。…どうしたい?」
いつになく真剣な顔のツナに見つめられる。リボーンは目を合わせようとしない。
どうしたいって…何これシリアスフラグ?
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