小説 | ナノ





シズちゃんに気持ちは違うって言われて、家を追い出されて泣く泣く家に帰ってきた。もう知らない。ほんとに知らない。シズちゃんなんか嫌い。二週間無理って言ったからには絶対二週間は会わないし連絡も俺からはしない。シズちゃんなんか寂しくて死んじゃえ。

って思いながら寝たのはたった4日前のことで、やっぱり耐えきれなくなったのは俺が先だった。(悔しすぎる)
この3日間シズちゃんは毎晩電話とメールをくれてたけど、俺はとにかくシズちゃんを思い出したくない一心で仕事ばかりして、夜は10時には寝てたから電話にはでれなかった。
メールが苦手なシズちゃんは頑張って打ったって感じのぎこちない文章で「体には気をつけろ」だとか「無理するな」だとかが書いてあって、それにどうしようもないくらいときめいた。
特に昨日はいつものような心配のメールじゃなくて会いたいってメールでやっぱり嬉しくてちょっと泣きそうだった。
でも二週間は会わないって決めたから、シズちゃんにみつからないように隠れて池袋を歩いている。服だっていつものコートじゃすぐ見つかるだろうから、紺色のセーターにジーンズを着てきた。あんまり着ない組み合わせだし、きっと俺だってわからないだろう。
雑踏の中を歩いていると、前から見慣れた姿を発見した。たしかシズちゃんの上司だ。やばい、じゃあシズちゃんも一緒だよね。
慌てて適当な店に入って隠れると、シズちゃんが缶コーヒーを2つもって歩いてきた。いつものバーテン服がひどく懐かしく感じられる。(あーシズちゃんだ)やっぱり見つけてしまうと愛しさが募って会いにいきたくて仕様がない。ああシズちゃんの声がききたい触れたい。あれ今目が合った気がした。でも気のせいだよね。今日はちゃんと変装してるし。あれお店に入ってきちゃった。上司置いていっちゃだめでしょ。上司も困った顔してるよ…あ、帰っちゃったよ上司、いいのシズちゃん。

「臨也、てめえ何やってんだ?」

「っ!?」

ばれてたのか。シズちゃん案外鋭いところあるからなあ。

「てゆうか、お前仕事は?」

シズちゃんの声がする。こんな近くで話すのなんていつぶりかな(4日ぶりだよ)あ、なんかやばい、泣きそうか、も。

「臨也っ!?」

溢れ出した涙は止めようがなくて、突然泣き出した俺にシズちゃんは困ったような表情を浮かべた。シズちゃんごめんね。でも無理だ。

「あー…。うちくるか?トムさんも今日はもう帰れって言ってくれたし。」

「…いいの?」

どうにかしゃくりあげないように気をつけて声を発した。

「…いや、あー…、普段からきてえときにはこればいいじゃねーか。」

「で、でもこの前は帰れって…」

「っ、それは、」

シズちゃんがふいっと目をそらした。心なしか顔が赤くみえる。

「っ…お前が、」

「俺が?」

みるみるうちに赤く染まっていくシズちゃんの頬をみつめる。かわいいシズちゃん。

「かわいく、て、自分でも色々と…抑えられるか、わからなかった、から。」

言い終わった後、更に赤くなるシズちゃん。ああもう、かわいい。てゆうか暑い。今日暑いよ。

「顔真っ赤だよ、シズちゃん。」

「…てめえもだろうが」

「え、うそ。」

頬に触れる。確かに熱い。うわ、なんか最高に恥ずかしい。

「ねえシズちゃん。」

「あ?」

「そういう気持ちになってるの、シズちゃんだけじゃないから、ね。」

そう言って笑ってやれば、シズちゃんは一瞬固まったあと、その場にしゃがみこんでしまった。
やっぱりシズちゃんかわいいし、かっこいい。大好きだよ、シズちゃん。








 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ばかっぷるおつ!
タイトルと一部本文をYUKIさんのビスケットから引用しました。
YUKIさんだいすきです。


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