小説 | ナノ


※九十九屋×臨也
※来神捏造





九十九屋真一は、何を考えているかさっぱりわからなくて苦手だ。今、この瞬間も。
眼前でいつものにやにや笑いを浮かべている九十九屋は黙っていればまあ顔も悪くないだろう。これといって逸脱した特徴はないが、全体的に均整がとれた容姿をしている。夕焼けに照らされた表情はまあ微笑んでいるととらえれば許せる。
ただ、その手に持っている異様に肌色で埋め尽くされた薄めの本さえなければの話だが。

「…それで、何だって?」

じとりと睨むと、九十九屋は爽やかな笑みを浮かべて手に持った本を掲げた。表紙には"乱れる人妻〜淫らな性生活〜"とけばけばしい文字が踊っており、肌を露わにした女性の絵が如何にもそれらしいポーズで描かれている。

「これを読んでほしいと言ったんだ。」

「…ふざけてんのかっ!」

あまりに当然だといった表情の九十九屋をはねのける。すると九十九屋は心底驚いた顔で俺をみた。

「なんだ、折原はこんな感じで性に関してはオープンな方だと思っていたんだが。」

「んなわけあるか。つうか仮にそうだとしても、官能小説読ませようとされるなんて予想外過ぎて対応できねえよ!」

とにかく、そんなものは読まない。そう言って席を立ち九十九屋に背を向け、教室のドアに手をかけようとした。したのだが、俺の手は虚しく宙をかき、いつのまにか背後に移動してきていた九十九屋の胸に収まった。

「なにすっ…!」

「読んでくれないなら一緒に読むまでだ。」

そういうと九十九屋はぐっと俺を引っ張り、床にぺたりと座った。体制が崩れていた俺は重力と九十九屋の力に抵抗できず、つられるように床に座らされる。九十九屋は足で俺の体を挟むと、肩に顎をのせぱらりと本を開いた。

「…もうこんなにして、何を考えているんですか奥さん。創平は呟くと、真紀子の短いスカートに手を…」

「おい、離せ…っ、耳元で読むな!」

「なんだ、俺はただ小説を読んでいるだけだ。…あ、だめっ、何がだめなんですか、ほら…」

「ーっ、離し、て!」

耳元にかかる九十九屋の息と、呟かれる卑猥な言葉にぞくりと背筋が寒くなる。胸を叩いて抵抗するが、九十九屋はぴくりとも動かず言葉を続ける。ほんと、もういい加減にしろ。

「…ほら、みてくださいよ、奥さんのここ、こんなに尖って…いやらしいですね。…」

「っ、!」

腹にあったはずの九十九屋の手が学生服の中に突っ込まれ、ごそりと蠢いた。強く突起を捻られ、ぎくりと反応してしまう。

「…あ、創平くん…そうなの、私…淫乱なのぉ!真紀子は悩ましげに眉を顰め…おや折原、どうした?随分頬が赤いが…もしかして興奮したか?」

「…うるっさい!さっさと、離せ!」

「俺は構わんが…苦しいのはお前なんじゃないのか?折原。」

乳首を弄っていた手が下半身を掠める。意地悪く笑う九十九屋の息がふ、と首筋にかかった。

「しね、九十九屋っ…!」

「シて、だろう?折原。」

ここで俺は気付いた。九十九屋は苦手とか、そういうんじゃない。
消えてほしいんだ。






官能小説攻め^^


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